2014 Fiscal Year Annual Research Report
非局所ゲームおよびゲーム意味論による量子もつれ指向プログラミング言語の構築
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14J09418
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本多 健太郎 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 量子プログラミング言語 / 量子もつれ / ゲーム意味論 / トポロジカル計算 / 量子秘匿計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
非局所ゲームとゲーム意味論という異なる2種類のゲームをつなぐ研究を行った.ゲーム意味論の中において4者間で行われるゲームを定義し,さらに量子もつれ状態を表す特別なゲームを導入することで,非局所ゲームをゲーム意味論の枠内で定義した.また,通常の非局所ゲームから,定義した非局所ゲームへの変換を与え,この変換を通じて非局所ゲームの枠内での普遍性定理がゲーム意味論の枠内で成り立つことを示し,定義と変換の妥当性を示した.さらに言語の構築後に予定している検証に向け検証対象の選定に活用すべく,量子もつれを中心とした研究を行った.量子状態の非局所性を利用して情報を保持する量子計算モデルであるトポロジカル計算に対して,そのための型付高階プログラミング言語を提案した.我々の言語では計算ステップがトポロジカル計算での計算の最適化に対応しており,進めることにより最適化を行うことができる言語となっている.また,量子もつれとその測定によって計算を進める量子計算モデルである測定ベース量子計算に対しても研究を行った.このモデルを活用したプロトコルに,量子計算機を持たないユーザがプライバシーを保ったまま量子計算機を使用できるようにするという量子秘匿計算があるが,このプロトコルに対して第三者が出力の正当性を検証できるという公衆検証可能性とよぶ性質を新たに定義し,更にユーザが量子計算機を所有していないという状況に着目することで,プロコトルを改良して公衆検証可能性を持たせることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非局所ゲームとゲーム意味論の間の変換を樹立した上その妥当性を示しており,当初研究計画を一定程度達成している.他方,新たな性質の発見には至っておらず研究課題である量子もつれ指向プログラミング言語の構築にむけては未だ無視できぬ溝がある.その一方で,翌年度に予定していた構築後の検証に向けてのトポロジカル計算や量子秘匿計算の研究でも研究の進展を見せており,以上の点を総合し,達成度はおおむね順調であると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題である量子もつれ指向プログラミング言語の構築およびその実装を行う.現在までの達成度にも記したように構築には未だ研究が必要であるが,構築を最優先として現状の変換方式・手法にはこだわらずに行っていく予定であり,現在はスタビライザーの活用を検討している.
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Research Products
(4 results)