2015 Fiscal Year Annual Research Report
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14J09473
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
大久保 卓 国立研究開発法人 農業環境技術研究所, 生物生態機能研究領域, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 植物マイクロビオーム / イネ / 根圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
FACE(開放系大気CO2増加)実験施設水田の慣行施肥期、無窒素施肥区で栽培した水稲を幼穂形成期、穂ばらみ期、出穂期、登熟期にサンプリングし、根に棲息するバクテリア、古細菌の群集構造を、16S rRNA遺伝子配列解析により調べた。UniFracにより定義したサンプル間の距離行列を主座標解析したところ、イネの生育ステージ順に第一軸に並び、根に棲息する細菌は稲の生育ステージにより変化することが示された。二酸化炭素濃度上昇、窒素施肥でも群集は有意に変化した。全サンプルの群集構造の分散のうち、およそ50%が生育ステージ変化によるものであった。窒素施肥、二酸化炭素濃度上昇の寄与分は5%以下であり、窒素施肥、二酸化炭素濃度上昇が細菌群集構造に与える影響は生育ステージに比べて小さいことが明らかになった。窒素施肥や二酸化炭素濃度上昇による生育ステージ変動のパターン変化は、観察されなかった(P>0.05)。窒素施肥、二酸化炭素濃度等の生育環境変化が水稲根に共生する細菌群集構造に与える影響は、生育ステージ変動に比べ遥かに小さいことが示された。属レベルで最も高い相対存在比率を示したのは、水田土壌における鉄還元細菌として報告のあるAnaeromyxobacter (全サンプル平均14%)、次いでGeobacter(同9%)であった。これらの菌群は、生育ステージが進むにつれて、増加する傾向を示した。水稲根表面には、鉄化合物が沈着しており、細菌群集の形成や変動に大きな影響を持つことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水稲根に棲息する細菌群集の時系列変動の原因として、鉄化合物が重要な役割を果たすことが示唆された。群集変動の機構解明は、本研究の主要目的のひとつであり、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
細菌相解析の結果、窒素固定をすることが知られる細菌が検出された。今後は水田環境における窒素固定にも着目して研究を進める。FACE(開放系大気CO2増加)実験施設水田で複数品種のイネを栽培し、2週間程度おきにイネと根圏土壌をサンプリングし、以下の分析を行う。アセチレン還元法等による窒素固定活性の測定、nifH遺伝子の定量PCR解析による窒素固定細菌の菌数の推定、nifH遺伝子、16S rRNA遺伝子を標的にした菌総解析も行う。イネの生育、窒素含量、イネ根の形態等のデータも取得し、窒素固定がイネの生育に与える影響を検討する。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Sulfur Fertilization Changes the Community Structure of Rice Root-, and Soil-Associated Bacteria2016
Author(s)
Masuda S, Bao Z, Okubo T, Sasaki K, Ikeda S, Shinoda R, Anda M, Kondo R, Mori Y, Minamisawa K
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Journal Title
Microbes and Environments
Volume: 31
Pages: 70-75
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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