2014 Fiscal Year Annual Research Report
超微量放射性炭素測定法開発と微量金属測定による高時間分解能海洋環境復元
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14J09489
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平林 頌子 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 放射性炭素濃度測定 / 微量炭酸塩試料 / 海洋環境復元 / 微量金属測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
サンゴ骨格に含まれる人為起源の放射性炭素(14C)は、非常に感度が高く、海水動態の季節変動を捉えることが可能なトレーサーであり、本研究課題である高時間分解能海洋環境復元に使用する。しかし、高時間分解能での海洋環境復元のためには、微量炭酸塩試料中の14C濃度の高精度な測定技術が必要であり、サンプルの前処理の過程での現代炭素の混入を最小限に抑えることが重要だと考えられた。今年度はその前処理法について検討し、現代炭素混入量を最小限に抑えることに成功した。この改良された14C前処理法に基づいて、黒潮流域に沿った広範囲での海洋環境復元のため、まず石垣島とフィリピンから採取されたサンゴサンプルを用い、14C測定および水温の代替指標となるSr/Ca比測定を行い、海洋環境復元を開始した。 さらに、水温の代替指標として用いられるハマサンゴ骨格中のSr/Ca比の信頼度の向上のため、サンゴ礁の形成限界北限域であるといわれている地域のハマサンゴを複数群体採取した。それらのサンゴ群体を用いてハマサンゴの低水温耐性や、古気候復元への使用可能性の検討などを行う予定である。採取したサンゴ群体は現在養生中であり、来年度以降、飼育実験を計画している。 また、牛深サンゴを用いた水温復元について、国内外で学会発表を行った。高精度放射性炭素濃度測定法の開発について、国内で学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の達成のためには、微量炭酸塩試料中の14C濃度測定法の高精度化が必要不可欠であったが、1年度目で既にその測定技術の確立に成功した。その方法に基づき、黒潮流域に位置するサンゴサンプルを用いた海洋環境復元を開始することも出来ており、2015年度以降、測定サンプル数を増やすことで、黒潮流域全体という広範囲での海洋環境復元をおこなうことが可能となっている。それに加えて、新たなサンゴサンプルの採取および飼育実験の準備も行うことができた。以上のことから、ほぼ当初の研究計画通り、研究を進めることが出来ていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階では石垣島産サンゴは約50年分のSr/Ca比の測定が終了しており、フィリピン産サンゴはすでに約25年分のSr/Ca比測定が終了しているが、引き続き、黒潮流域のサンゴ骨格中のSr/Ca比測定を行う予定である。また、石垣島、フィリピン産サンゴに加え、黒潮流域・黒潮続流海域に生息するサンゴを用いた放射性炭素濃度測定を行い、高時間解像度かつ、広範囲での海洋環境復元を行う予定である。 さらに、現在養生中のハマサンゴを用いた飼育実験により、低水温耐性や古気候復元への使用可能性の検討などを行う予定である。
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Research Products
(6 results)