2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J09516
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
陳 エン 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | アニメーション / アニメーション史 / 漫画映画 / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日中米三国からの大量な資料を集め、判断、整理しつつ、徹底的な実証研究を行うものであり、今年度の研究活動は主にアメリカでの現地調査、資料収集と関連者のインタビューを中心に行った。現地調査はロサンゼルス、シカゴ、ワシントン、ニューヨークなど四地で実行した。出発前に新しく発見した資料によって、具体的な課題設定を「1920-40年代中国アニメーションの米国上映状況」、「中国最初のアニメーターの在米生活状況」、および「20年代中国アニメーターアメリカ制作会社との関係」に調整し、3週間の滞在で一定な成果をあげた。また、映画年鑑を調べる副成果物として、中国映画史ではまだ言及されていない20年代にアメリカで上映された最初の中国映画を見つけた。今回の調査によって論文の想定結果と構成を調整しなければならなくなったが、従来の研究空白である20-30年代中国映画と中国アニメーションがアジア以外における存在感の薄さをはじめて認識した。 また、日本国内では力尽くして関連者のインタビューを実現させた。まずは70年代末から何回も中国に渡り、中国アニメーションについて取材していた記者・アニメーション研究者の小野耕世さんに連絡し、インタビューした。彼の手元ではまだ戦争時代の中国抗日アニメーションのコピーが残っていることが判明され、これは重大な突発である。その後、彼経由で日中アニメーション交流史のキーマンの持永只仁先生の遺族の持永伯子さんにも連絡がとれ、面会を組んだ。持永さんから貴重な写真と手紙を頂き、新たな手掛かりを入手した。二人とも高齢者であり、これも貴重な資料収集となっている。 以上のような調査と平行して、中国の学術誌での論文投稿も順調に進み、基礎研究の一部の「動漫」の定義についての研究結果が発表された。また、日本アニメーション学会に参加し、ほかのアニメーション史の研究者と意見交換をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究活動は計画通りに展開した。特に海外調査も含めた中で、様々な想定外のことが起きたが、結果としては90%の目的を達成した。日本国内での関連者のインタビューも、敏感で外国人に対する警戒感の高い高齢者であるため、接触するには苦労しましたが、最後も予想以上に話を教えてくれて収穫が大きかった。論文作成のほうは少し進度が遅れているが、貴重な資料収集が充分に仕上げたため、より質の高い論文が書ける自信をつけた。
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Strategy for Future Research Activity |
新年度では、前半に残りの中国国内での資料収集と新しく入手した手掛かりによるイギリスでの関連者インタビューを実現させることを計画している。後半では、集まった資料を整理、鑑別し、先行研究(日本とアメリカの権威的アニメーション史研究も含め)との比較を行う。分析を通じて得られた結果をまとめ、その事実に基づき、最初の想定に修正を加えながら、博士学位論文を作成しはじめる。日中アニメーション交流史の研究結果について学会大会で発表する予定。
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Research Products
(1 results)