2014 Fiscal Year Annual Research Report
木質・プラスチック複合材の流動性向上及び効果的な任意形状部品成形プロセスの構築
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14J09571
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
梶川 翔平 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 混練型WPC / 熱流動性 / 材料加工・処理 / 木質系材料 / 射出成形 / 鍛造加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画に基づき,本年度は木質系粉末の熱流動性に及ぼす熱処理時の粉末水分状態の影響,および熱処理による熱流動性変化に関わる構成成分について調査を行った. 熱処理時の粉末水分状態の影響に関する調査では,熱処理時の粉末含水率を気乾状態から飽水状態まで変化させたタケ粉末を数種類作製し,キャピラリーレオメータを用いた熱流動性の評価を行った.粉末の含水率が200 %までの範囲では,水分量が多い状態ほど処理後の粉末の熱流動温度が低下し,気乾状態で熱処理を施した粉末と比べ低い温度でも良好に流動することを確認した.さらに,熱処理時の含水率が200 %の粉末に対して,射出成形を試みた.その結果,全乾状態の粉末を用いた場合でも良好に流動し,曲げ強度36 MPaの成形体を得ることに成功した.一方,成形温度の違いによって,成形性および成形品の強度は大きく変化することが確認された. また,木質系粉末の熱流動性変化に関わる粉末の構成成分に関して検討するため,糖類などといった木質系材料の水溶性成分に着目した調査を行った.熱処理条件の異なる種々のタケ粉末に対して,水溶性成分量の測定および熱分析を行い,熱流動性との関係について検討した.その結果,粉末の熱流動性は,含まれる水溶性成分量とおおよそ正の相関関係をとった.したがって,熱処理による木質系粉末の熱流動性の変化には,生成される水溶性成分が大きく影響している可能性が示唆された.また,これらの水溶性成分の揮発が激しくなる180~200℃といった温度域において,熱流動性は最も高まることを確認した.今後,さらなる詳細な調査を行うことで,熱処理による木質系材料の熱流動性向上のメカニズムを明らかにできると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「木質系素材の流動性向上および疎水化が木質系粉末およびそのプラスチック複合材の流動性および成形性に及ぼす影響」に関する調査に関しては,当初の計画以上に進展したと考えている.木質系粉末の熱流動性に及ぼす熱処理時の粉末の水分状態の影響を明らかとした上,木質系粉末のみを用いた射出成形試験を試み,成形体を得ることにも成功している.また,熱処理粉末の分析を行い,熱処理による木質系粉末の熱流動性変化に関わる構成成分についても知見を蓄えることができている.これらの結果は,国際雑誌論文4件(内2本投稿中)および国内雑誌論文1件にまとめられている. 一方で,「木質系粉末およびそのプラスチック複合材から作製したビレットを用いた鍛造加工法の開発」に関しては,当初の計画比べやや遅れていると考えている.鍛造加工用金型の設計・加工は予定通りに行うことが出来たが,組立時の不具合により,部品の再設計および追加工などを行うこととなった.本年度中に金型の作製は概ね完了したものの,当初の予定であったビレットの鍛造加工実験を行うことは出来ていない.一方で,ビレットの作製方法については,基礎的な検討を行い,得られた結果は国際雑誌論文1件および国内雑誌論文1件にまとめられている. 以上の理由より,現在までの研究目的の達成度は,総合的にはおおむね順調にすすんでいると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画では,木質系粉末と熱可塑性プラスチックを混練したWPCについて,射出成形性および鍛造加工性に関する検討を行っていく予定である.材料調製として,木質系粉末とプラスチックを混練する必要がある.混練には,他研究機関の混錬装置 (ラボプラストミルなど) を使用させて頂く予定である.既に予備実験は行っており,WPCの作製に向けての準備が整ってきている. 鍛造加工実験に関しては,やや当初の計画よりも遅れているため,作製した金型を用いた鍛造加工実験を行うとともに,本研究室にて既に保有している簡易な金型を用いた基礎的な調査も行い,実験の効率化を図っていきたい.
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Research Products
(10 results)