2014 Fiscal Year Annual Research Report
発光性含カルコゲンジベンゾバレレンポリマーの合成と過酸化物センサーへの応用展開
Project/Area Number |
14J09624
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
安中 辰朗 埼玉大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 蛍光 / ジベンゾバレレン / ポリマー / 次亜塩素酸 / 硫化水素 / プローブ / カルコゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
赤色よりも長波長領域に強い蛍光を示す化合物の例は少ないが、その創製は光デバイスや生体内発光材料の発展には欠かせない。本研究では、長波長シフトした強い蛍光を有するジベンゾバレレンポリマーの合成と高感度かつ可逆的な次亜塩素酸/硫化水素蛍光センサーへの応用展開を目的とした。 まずはポリマー合成の第一段階として、モノマーの合成を検討した。モノマーとしては末端ハロゲン置換体と末端エチニル誘導体を選択し、これらのクロスカップリング反応によるポリマー合成を設計した。ハロゲン置換体はジ(9-アントリル)ジスルフィドと臭素もしくはヨウ素を有するジアリールブタジインとの反応によって、収率78%および71%で得られた。得られたハロゲン置換体とトリメチルシリルアセチレンのクロスカップリング反応、引き続く脱シリル化反応によって末端エチニル誘導体を効率的に合成することに成功した。得られた一連のエチニル誘導体は、無置換体やハロゲン置換体に比べて長波長シフトした蛍光を示し、π共役系拡張いよる影響が効果的に現れていた。また、それらの蛍光量子収率は有機溶媒中ではほぼ定量的、固体状態においても中程度の高い値を示した。 一方、生体内蛍光プローブへの展開として、無置換のセレン誘導体(セレニド)とその酸化体(セレノキシド)の合成を検討した。セレノキシドはセレニドの酸化反応によって高収率で得られた。セレニドが非常に強い蛍光性を示すのに対し、セレノキシドは著しく消光しており、高い蛍光ON-OFF性を示した。さらに、生体模倣条件下においてセレノキシドは硫化水素と迅速、定量的かつ選択的に反応し、引き続く次亜塩素酸との反応によってセレノキシドを再生した。このように、セレニド/セレノキシドの酸化還元系は高感度かつ可逆的な硫化水素蛍光プローブとして作用することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終的なポリマー合成に向けて、その前駆体となるハロゲン置換体および末端エチニル誘導体の効率的合成を達成したことは当初の想定通りの達成度だといえる。 また、過酸化物センサーとしては更なる発展を遂げ、セレニド/セレノキシドの酸化還元系を利用した可逆的な蛍光プローブとして作用することを明らかにした。これは当初の想定を凌駕する結果であり、当初研究目的を大幅に上回る達成度である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、ジベンゾバレレンポリマーの合成に関しては、ハロゲン置換体と末端エチニル誘導体のクロスカップリング反応もしくは各前駆体のホモカップリング反応によって検討し、得られた化合物の光物性を明らかにする。それに応じて物性のチューニングが必要であるが、例えばポリマーをpush-pull型にすることによる発光波長の長波長シフトや生体内蛍光プローブに必要な水溶性置換基の導入を検討する。 生体内蛍光プローブとしては先に述べた赤色発光や水溶性以外にも、完璧な反応選択性が要求される。セレン元素周辺のかさ高さが選択性の向上につながるという結果を得ているため、セレン元素を覆うジベンゾバレレン骨格への置換導入によって選択性の向上を目指す。
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Research Products
(3 results)