2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J09654
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 正哉 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | カイノイド / 全合成研究 / 網羅的合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
カイノイドはカイニン酸、およびその類縁構造を有する化合物の総称であり、脳・中枢神経に存在するグルタミン酸受容体に強く結合することが知られている。カイノイドには、天然から単離される化合物や合成化合物を含め10種類を超える化合物が存在し、その中にはグルタミン酸受容体への親和性や結合様式が異なるものがあり、神経薬理学分野で注目されている。しかしながら、現在までに知られているカイノイド合成法は、それぞれの化合物に特化した方法であり、様々なタイプのカイノイドを一挙に合成できる、網羅的な合成法が必要であった。そこで申請者はカイノイドの効率的かつ網羅的な合成法を開発すべく、研究に着手した。申請者は、自身で開発した新規合成法を用いて、既にカイニン酸の全合成を完了している。そこで今年度はカイノイドの中でも特に強力な活性を有するMFPAの合成に取り組み、その全合成を達成した。この結果より、本研究は芳香環を有するカイノイドの合成にも有用であることが示された。さらに、現在までに合成されていない新規カイノイドであるシクロプロピル誘導体(CPKA)の合成にも取り組み、この合成も達成した。この結果より、既存の方法では難しかったアルキル基を有するカイノイドの合成も効率的に行うことができ、本研究の有用性を示すことができた。現在は、本研究が、複雑な部分構造を有するカイノイドの合成にも適用可能であるか検討するため、ドクササコ(キノコの一種)から単離されるアクロメリン酸類の合成研究に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は現在、当初の計画通りMFPAの合成を達成しており、本研究の最も重要な課題である、「網羅的合成」を示すことができたと考えている。また、新規カイノイドCPKAの合成も達成し、この合成法の網羅性をさらに強く示すことができたと考えている。なお、新規カイノイドの合成は来年度の研究目標であったが、他の研究に先んじて今年度行うこととした。これにより、新規カイノイドの活性評価を行うための十分な時間を設けることができ、活性評価の結果を用いた更なる新規カイノイドのデザイン、および合成を行う時間を確保することができた。一方、今年度の目標であったアクロメリン酸類の合成は今年度に終了しなかったため、来年度にひきつづき研究をおこなうこととなった。以上の理由により、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在研究を進めているアクロメリン酸類の合成を引き続き行う予定である。また、今年度合成した新規カイノイドCPKAの活性評価を足がかりとして、更なる新規カイノイドのデザイン、合成も行う予定である。
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Research Products
(5 results)