2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヒューマノイドにおける意図提示型自律系と注意誘導系の統合による即応支援行動の獲得
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14J09875
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
熊谷 伊織 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ヒューマノイドロボット / 自己状態認識 / 意図提示自律系 / 割り込み型遠隔指示 / 自動車運転行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は注意誘導可能な意図提示自律系を構築し人間の意図をロボットが解釈して行動として実現すること,及び注意誘導のための遠隔指示系を構築することを目標として研究を実施した.特に提案するシステムの適用例としてロボットの車運転タスクを取り上げ, 実験を通してシステムの有効性を検証した. まずロボットが自己の行動を決定するための自律系として, タスク実行中に自己の関節温度を推定し, それに基づき関節トルクを制御することでロボットが自律的に高負荷タスク実行中の関節の故障を防ぐ負荷軽減制御系を実現した. この制御系はロボットが自己状態に基づいて行動を決定する上で必要であり, 自律系の基盤となる機能である. 更に車運転タスクにおいてロボットが周囲の障害物を認識し, その結果に基づいて自己の進行方向を決定するとともにオペレータに提示する認識自律系を構築した. またハンドル操作, ペダル操作といった車を運転するための操作行動を実現するための動作生成・行動制御系を構築し, 認識系と統合した自律システムを実現した. 次に注意指示割り込み可能な遠隔指示型の構築として, 車運転タスクにおいてロボットの提示する進行方向をもとに, 適宜割り込む形でロボットの動作を修正可能な遠隔操作システムを構成した. ハンドル・ペダル操作中にその操作方法を遠隔操作系から割り込み式で変更することにより自律系と遠隔操作系の動的な切り替えが可能となった. 最後に, 上記のシステムを実験的に評価するため, 車運転タスクについて提案するシステムを動力学シミュレーション環境と実世界環境双方で適用可能な形で実現しその有効性を実験的に検証している. 実世界における車運転タスクの検証においては車を模したドライブシミュレーション環境を制作すると共に, 相模原・アメリカのロボット実験場において屋外で実車を用いた実験を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は車運転タスクにおけるロボットの意図提示型自律系と割り込み可能な遠隔操作系を構成すると共に, シミュレーション及び現実の車において運転操作タスクの評価実験を行った. 基板となる自律系については高負荷タスク実現のための関節負荷軽減制御系を実現し, 国際学会において発表した. また車運転タスクに関しては自律系と遠隔操作系を組み合わせた運転操作行動が実現され, 更に2年目以降に予定していた道具利用行動及び屋外での行動実験についても, 車運転におけるハンドル操作行動実験や屋外ロボット実験場での実車運転実験を行った. 更に, 実現したソフトウェアはオープンソースプロジェクトの一部として公開しており, ロボット研究者の生産性向上に貢献している. 現状のシステムは車運転タスクに特化した要素が多いが, 来年度以降より一般的なタスクに適用可能な形で意図提示型自律系及び注意誘導のための遠隔操作系を拡張していく予定である. 以上から, 現状本研究課題の研究は概ね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は車運転タスクに特化した要素が多い現状のシステムをより一般化し, 意図提示型自律系及び注意誘導のための遠隔操作系を道具操作をはじめとしたタスクに適用可能な形に拡張していく. またソフトウェアの開発と平行して広範囲かつ一般性の評価が可能なタスク環境を用意し, 道具操作行動等のタスク実験を通して提案するシステムの実証的な評価を行っていく. 更に, 本研究は遠隔指示系を組み込むことからユーザインタフェース及びオペレータへの依存が大きいことため, 今後は一般の利用者を想定したユーザインタフェースを整備するとともにユーザビリティの評価指標も考慮して研究を進める予定である.
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