2014 Fiscal Year Annual Research Report
局在型および伝搬型表面プラズモン共鳴の結合による高感度疾病スクリーニング法の研究
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14J09886
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
李 禮林 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 表面プラズモン共鳴 / プラズモン結合 / 時間領域差分法 / 電場増強 / 表面増強ラマン散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、局在型および伝搬型表面プラズモン共鳴の結合による小型高感度かつ疾病バイオマーカーに選択性を有する疾病スクリーニングセンサの開発を目的とする。そのために局在型表面プラズモン共鳴を励起する金微小球を、伝搬型表面プラズモン共鳴を励起する逆ピラミッド型凹構造の中にトラップさせたナノスケールの周期的立体構造を考案した。時間領域差分法による光学シミュレーション結果から、微小球と凹構造の間に形成される狭小ギャップに強い電場増強が確認され、その値は共鳴波長で最大になることが分かった。今までは微粒子の形状に依存する電場増強、微粒子間の間隙からなる電場増強が研究の主流であったため、実際の構造作製と評価へ様々な限界が生じていた(ランダムな配列、形状に対する再現性確保の難しさ、ナノスケール間隙制御の困難さ等による)。それに対し本研究で提案した構造は周期的なものであり、簡単な自己組織化技術によってロバストに形状をコントロールできるため、作製と評価の再現性確保が容易である。更に、光エネルギーフロー、電場分布を解析することによって、提案した構造の強い電場増強は、微小球と凹構造の相互作用によるものであることを明らかにした。このような局在型と伝搬型表面プラズモン共鳴の結合に関する研究はまだ少ないため、これらの結果はプラズモニクス分野の研究領域拡大へつながると期待できる。プラズモン結合による強い電場増強を用い、極微量の有機分子検出が可能であることを示すために、直径100nmの金微粒子が逆ピラミッド型凹構造の中にトラップされ、350nmの周期で配列された立体構造を試作し、さらに構造周りに有機分子であるベンゼンチオールを極微量ドープした。シミュレーション結果から分かる構造の共鳴波長に近いレーザーを励起波長にしてラマン散乱を計測した結果、表面増強ラマン散乱による強いピークを計測することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の目的を達成するために、本年度は大きく(1)光学シミュレーションによる微小球と凹構造の組み合わせにおける局在型および伝搬型表面プラズモン現象の解明、(2)提案した構造の試作を計画していた。迅速な計画の実施により、試作物の評価実験まで進むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、構造の作製プロセスを最適化すると共に、プロセスの高速化のための対策と低コスト作製法を考案する。構造の性能評価の際には疾病バイオマーカを含む混合ガスを用いたいため、ガスの流量と濃度をコントロールできる実験系を設計する。
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Research Products
(4 results)