2015 Fiscal Year Annual Research Report
QOLの観点に基づいた障害者雇用促進制度・政策評価ツールの開発及びモデルの再構築
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14J09924
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
權 偕珍 立命館大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 障害者雇用 / 評価指標 / 評価尺度 / 障害者のQOL |
Outline of Annual Research Achievements |
採用第2年度の研究計画は、開発した障害者雇用促進制度・政策の評価指標・尺度を用いて日本と韓国の障害者雇用制度・政策の評価を行い、QOLの観点から制度・政策上の課題を提示することであった。それで、採用第2年度は、指標や尺度を用いた日本と韓国の障害者雇用促進制度・政策の評価を中心に研究を行った。指標を用いては、本研究者が日本と韓国の障害者雇用促進法制・政策を評価分析し、課題を提示した。尺度を用いては、専門家から日本と韓国の障害者雇用促進制度・政策の状況について評価してもらい、日本と韓国の現状と今後の課題に関する比較分析を行った。2015年5月から10月、6ヶ月間、障害者雇用促進制度について知識を持っている専門家を主な対象に調査を行った。研究の目的と説明が書かれた質問紙を調査対象者に訪問、郵送またはメールで配布し、同意した参加者に尺度(QOL-EPAT)を実施してもらった。150部配布のうち、日本は117部、韓国は124部が回収された。得られた調査データを用いて、分析評価し、日本と韓国の障害者雇用促進制度・政策の課題を提示した。 このような研究内容を踏まえ論文を作成し、学術雑誌に投稿し、掲載された。「日・韓の障害者雇用促進法制の評価分析および比較―QOL-EPAIを用いた評価分析を中心に―」は、2015年9月、第5回Asian Society of Human Services(韓国ソウル)にてポスター発表を行い、コメントや指摘を受け、修正・補完し、立命館経済学に2016年2月第65号に投稿・掲載された。「QOLの観点に基づいた障害者雇用促進制度・政策評価尺度(QOL-EPAT)の信頼性・妥当性の検証―日本の専門家調査から―」は、2016年2月、Total Rehabilitation Research(Asian Society of Human Services)にて掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採用2年度は計画のとおり、指標(QOL-EPAI)を用いては法制・政策の評価分析し、尺度(QOL-EPAT)を用いては日本と韓国の専門家による評価・比較分析を行った。さらに、専門家調査から得られたデータを使って、信頼性・妥当性の検証や分析評価により日・韓の障害者雇用促進制度・政策の課題を提示することができた。具体的な内容は以下である。 第1に、QOL-EPAIを用いて、日・韓の障害者雇用促進法制を評価分析し、比較を行った結果、日・韓において、QOL-EPAIの3領域のうち、「雇用の安定性」や「生活の安定性」の領域は法律や制度・政策の整備されている項目があったが、「心身の健康」の項目に該当する法律、制度・政策は日・韓ともに不十分であり、整備が必要性であることが明らかになった。 第2に、QOL-EPATの信頼性・妥当性の検証(日本と韓国の専門家調査)の結果、まず、信頼性の検証(内的整合性)結果、領域のCronbach’s α係数は、「雇用の安定性」、「心身の健康」、「生活の安定性」の3つ領域におけるα 係数はすべて0.7 以上であった。妥当性の検証(構成概念妥当性)結果、因子分析モデルの分析結果も、モデルの適合度を示す指標がすべて許容水準であることが明らかになった。すなわち、QOL-EPAT は、信頼性及び妥当性が検証され、QOL-EPAT は日本と韓国の障害者雇用促進制度・政策の評価分析のための尺度として活用することが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
採用3年度前期の研究計画は、採用2年度からの引続きとして、①韓国の専門家調査から得られたデータを用いて、信頼性・妥当性の検証を行った統計分析の内容を論文作成及び投稿することである。②QOL-EPATを用いた日本の障害者雇用促進制度・政策について評価分析研究を行うことである。③研究に協力して頂いた協力者・参加者に研究成果を報告し、さらに、学会において成果報告を行うことである。 採用3年度後期の研究計画は、博士前期課程から今までの研究(研究①国際比較による障害者雇用促進制度・政策の分析、研究②QOLの観点に基づいた障害者雇用促進制度設計の有効性に関する研究、研究③QOLに基づいた障害者雇用促進制度・政策の評価指標・尺度の開発、研究④QOLの観点に基づいた障害者雇用促進制度・政策の評価指標・尺度を用いた評価分析)を踏まえて、QOLの観点に基づいた日本と韓国の障害者雇用促進制度モデルの再構築のための提案を行うことである。さらに、今まで得られた成果に関して、様々な視点から研究目的の達成度を検証する。さらに、学会において成果報告を行うことである。
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Research Products
(5 results)