2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本型生活保障システムの狭間で生きたシングルマザーの老後
Project/Area Number |
14J09973
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
谷村 ひとみ 立命館大学, 先端総合学術研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | 離別シングル女性 / 老後 / 貧困 / 世代間関係 / 資源移転 / 女性の就労 / 公的年金制度 / 経済的自立 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、離別シングル女性たちが高齢期に直面している困難や葛藤から、日本型社会保障システムの矛盾や不備を浮き彫りにし、現況に合致した生活保障の提言を行うことである。 平成26年度の研究実施計画は、1年を通し「子育て後」にあたる50歳代から65歳までの離別シングル女性のインタビュー調査(約20名予定)および歴史的資料の収集を中心に進めるであった。具体的には(1)戦後の男性稼ぎ主モデルを前提とする日本型生活保障システムにおいて離別シングルマザーおよび子はどのような生活保障がなされ、どう位置づけられてきたかを文献・資料をもとに行う。(2)離別シングル女性の老後の経済的資源の実情を、就労の中断の有無、就労形態(正規・非正規)の違いから、インタビュー調査実施する。(3)引き続き離別シングル女性へ世代間関係および資源移転の差異とその老後の実情についてインタビュー調査を進める。(4)2014年11月の第62回社会福祉学会において「高齢期シングルマザーと成人子間にある現実」(仮題)として学会発表を行うであった。 研究実績は、(1)から(3)は概ね順調に遂行できた。(4)は、2014年11月予定であった第62回社会福祉学会での発表は、ソウルで行われた≪障害学国際セミナー2014≫(立命館大学生存学研究センター共催企画)でのポスター発表に変更した。変更理由は、発表予定であった(仮題)「高齢期シングルマザーと成人子間にある現実」の内容が、知的障がい児を抱える三世代離別シングル女性における「成人子間にある現実」であったため、≪障害学国際セミナー2014≫(2014年11月20日)での発表がより適切だったことによる。また(1)から(3)について立命館大学生存学研究センター若手研究者研究力強化型プロジェクト「規範×秩序」研究会において2回の発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「9.研究実績の概要」で示したように、研究実施計画はおおむね順調に遂行できており、インタビュー調査も残り5~6名でほぼ終了する。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画の(2)および(3)のインタビュー調査は5月中に対象者への確認および補足の最終インタビュー調査を完了する。現在6名のインタビューが内定している。得られたデータを6月中に分析および比較検討し、調査結果を整理する。それらの分析と同時進行で(1)の資料の収集を行い、得られた結果を基にして、これまでに執筆した論文および関連資料をまとめ、博士学位請求論文「日本型生活保障システムの狭間で生きたシングルマザーの老後――成人子との世代間関係・資源移転から映し出される現実」(仮題)を執筆する。2015年12月に同論文を所属研究科に提出し、2016年1月~3月の審査を経て2016年3月に博士号(学術)取得を目指す。
|
Remarks |
≪障害学国際セミナー2014≫http://www.arsvi.com/a/20141120.htm 立命館大学生存学研究センター若手研究者研究力強化型プロジェクト「規範×秩序」研究会http://www.arsvi.com/o/n07.htm
|