2015 Fiscal Year Annual Research Report
リシン脱メチル化酵素LSD1阻害をトリガーとする二重機能型抗がん剤の開発
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14J10025
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
太田 庸介 京都府立医科大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 創薬化学 / 抗がん剤 / LSD1 / ヒストン修飾酵素 / 核内受容体 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
リシン特異的脱メチル化酵素(LSD1)は乳がんをはじめ多くのがんに高発現している。そのため、LSD1はがんのバイオマーカーや分子標的として注目されている。これまでにtrans-2-phenylcyclopropylamine(PCPA)をはじめ多くのLSD1阻害薬が報告されているが、臨床応用するには未だ薬理活性が不十分であると考えられる。最近の研究から、LSD1阻害薬とヒストン修飾酵素・核内受容体に作用する抗がん剤の併用が相乗的な抗がん効果を示すことが報告された。そこで、本研究ではLSD1阻害を引き金に、ヒストン修飾酵素や核内受容体にも作用する二重機能型抗がん剤の開発を目指した。 本年度は、昨年度に引き続き新規二重機能型抗がん剤候補化合物の設計、合成と機能評価を行なった。その結果、PCPAと乳がん治療薬の活性代謝物4-hydroxytamoxifen(4OHT)をリンカーで結んだPCPA-tamoxifen conjugateが合成した中で最も強力なLSD1阻害活性を示した。また、質量分析により、PCPA-tamoxifen conjugateがLSD1存在下、対応する4OHTを放出することが確認された。さらに、PCPA-tamoxifen conjugateはLSD1高発現の乳がん細胞の増殖を抑制した。さらに、ウエスタンブロッティングによる評価から、PCPA-tamoxifen conjugateが乳がん細胞内でLSD1と4OHTの標的であるエストロゲン受容体の機能を阻害することが確認された。すなわち、PCPA-tamoxifen conjugateは二重機能型抗がん剤として機能していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、LSD1を高発現するがん細胞で効果を示す二重機能型抗がん剤の創製に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度はこれまでに得られたた知見を基に、構造最適化研究や引き続き新規二重機能型抗がん剤の設計、合成及び機能評価を行なうことで本研究課題の一般性の検証を行なう。
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