2014 Fiscal Year Annual Research Report
入力インピーダンスの整合が可能なワイヤレス電力伝送向け受電側整流器の開発
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14J10028
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
日下 佳祐 長岡技術科学大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ワイヤレス給電 / ワイヤレス電力伝送 / 整流器 / インピーダンス整合 / インバータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ワイヤレス電力伝送システムに使用する受電側整流回路の設計・開発と,その特性評価を行なっている。特に本年度は下記の2点について主に研究を行なった。 1. 電磁界解析の導入による回路設計技術の確立 本受電側整流器を実際の車用ワイヤレス給電システムに適用するためには,回路の定格電力を3.3kW程度まで増加させる必要がある。しかしながらワイヤレス電力伝送システムにより生じるノイズや,変換回路から生じるノイズにより,定格電力3.3kWでの動作はこれまで実現できておらず,これまで低電力化での検証に留まっていた。そこで本年度は,回路設計・実装技術の改善を図るためRF/マイクロ波回路設計・解析ソフトであるAgilent ADSを用いた三次元の電磁界解析を行い,回路パターンの設計を行なった。検討対象は,ワイヤレス伝送向け伝送コイルと送電側回路が同一基板上に実装したものであり,各電力変換回路と伝送コイル間の影響を電磁界解析ソフトで容易に解析できる構造となっている。本回路を実際に製造し,実験器とAgilent ADSにより得られたシミュレーションの結果との比較を行い,回路の寄生パターンにより生じる共振について,共振のピークは一致しないものの,共振周波数はシミュレーションと実験結果がほぼ一致することを確認した。これにより,ワイヤレス電力伝送システムにおいて電力変換回路とワイヤレス電力伝送向けコイルの両者の解析が可能であることを示した。 2. ワイヤレス電力伝送システム接続時の特性評価 これまでの検証は受電側整流器に理想電源を接続して行なっていた。しかしながら,実際には電源としてワイヤレス伝送用コイルが接続されることとなるため,実際の伝送コイルを用いた評価が必須である。本年度は,試験用の13.56MHz電力伝送用コイルを製作し,本コイルを電源として使用した場合の受電側整流器の動作検証を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,大きく6個のステップに分けられる。1. 従来回路の損失分離,2.整合可能な整流器の動作検証, 3.高効率化のための最適設計法確立,4.実装技術の理論的・実験的改善,5伝送コイル接続時の特性評価,6.仕様に応じた補助回路の選定法の確立。 これらのなかで,1, 2, 4, 5に関してはほぼ終了しており,想定していた進捗が得られている。しかしながら,「3.高効率化のための最適設計法確立」に関しては現在検討を行なっている段階であり,多少の遅れがある。遅れの原因として,今回提案している受電側整流器で生じる損失を正確に計算出来ない点がある。回路のインダクタで生じる鉄損に関しては理論的な算出方法が世界的に研究されている最中であり,現状では厳密な算出方法が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,回路の最適設計法確立に取り組んでいるものの,インダクタで生じる損失,特に鉄損を算出できないため,工程に多少の遅れが生じている。 この問題を解決するため,インダクタをコアレスに限定し,検討を行う予定である。インダクタをコア無しで構成することにより,インダクタ体積の増加はあるものの,本年度問題となったコアで生じる損失,鉄損を無視することが可能となる。これにより,コアレスという正弦波あるものの整流回路の最適設計が可能となる。
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Research Products
(4 results)