2014 Fiscal Year Annual Research Report
高速高精度な三次元無拘束ダイナミック情報取得・提示システムに関する研究
Project/Area Number |
14J10261
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
末石 智大 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 拡張現実感 / プロジェクションマッピング / 再帰性反射 / 構造化照明法 / カメラ校正 / トラッキング / 高速ビジョン / ビジュアルフィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,既存の環境や物体を動くものでも高機能なヒューマンインターフェースの道具とすることを目指し,高速情報取得システムの高精度化・安定化およびそれに基づく三次元的な情報提示の開発・実現を行っている.本年度は特に,映像投影下における対象のトラッキング安定性向上と空中超音波触覚ディスプレイ・高速光軸制御系の校正による高精度化に関する研究に取り組んだ. 1つ目の研究成果として,高速カメラとプロジェクタの光軸を一致させ,駆動鏡面によりその光軸を高速制御する系に対し,再帰性反射背景の導入を提案した.カメラ画角全体に相当する範囲に低照度落射照明を投影すると,トラッキング対象表面での拡散反射と比較して背景では再帰性反射によって投影光の大部分がカメラに直接戻ってくるため,明るい背景の中の暗い物体という簡単な認識で,投影内容や環境の照明条件にロバストなトラッキングを実現した.本提案技術により高速な動物体に対するプロジェクションマッピングや三次元計測のための構造化照明法が可能となり,幅広い応用が可能となる. 2つ目は,空中超音波触覚ディスプレイ・カメラ系の校正として,FTIRと呼ばれる光の全反射阻害現象を利用し,空間中の任意の三次元焦点位置における触覚刺激となる音響放射圧を可視化する手法を提案した.アクリル板上の適度な凹凸を含む膜への加圧部がFTIRにより輝点として直接観測可能となり,特定の焦点パターンにより校正が可能となる.人手による主観的な手法や単一マイクを利用した手法と比較して,単一焦点の二次元的な探索が可能であり,高速情報取得装置と触覚情報提示装置の簡便かつ高精度な校正が可能となった. 3つ目は,駆動鏡面による高速光軸制御系・カメラ系の校正として,ミラーの厚みを考慮して更なる高精度化を図れることを把握した.今後は望遠時の浅い被写界深度に対する適切な光学系の扱い方などを摸索する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「安定的なトラッキング」に関して当初は同軸ステレオという異なる解決法を考えており,システムの設計・試作,そしてアルゴリズム開発まで含め2年は必要であると想定した.しかし望遠時における浅い被写界深度により同軸ステレオという系が上手く機能しないと判断し,再帰性反射背景という手法に切り替えたが,明るい背景の中の暗い対象に対する二値化処理という非常に簡単なアルゴリズムにより映像投影下における安定的なトラッキングが達成されたため,想定以上の研究の進展があった. 「高精度化」に向けた各校正手法に関しては,問題点の抽出が順調に進んでおり,空中超音波触覚ディスプレイ・高速光軸制御系双方を通じて光学系の適切な取り扱いが大局的な解決方針であると理解している.そのため高精度化に関する研究は順調に進んでおり,今後より一層校正手法を成熟させていくことを考えている. 以上を総合的に踏まえ,現在までの達成度は当初の計画以上に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目においては,現在取り組んでいる高速光軸制御系の校正手法の実現と更なる成熟をまず達成させる予定である.さらに特殊な光学系や情報提示装置などのカメラに対する校正手法を体系的に整備していくことも考えている.また,動的対象の高精度な形状計測に向けて,複数の高速光軸制御系を用いた構造化照明法の実装・検証も行っていく予定である. さらにその後は,対象の運動や形状・姿勢変化に対して,適切に提示情報をリアルタイムに変形するアルゴリズムならびに実用的なアプリケーションを摸索する.
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