2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J10295
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
山口 隆太郎 横浜国立大学, 国際社会科学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 地方財政論 / 地方自治 / 財政調整制度 / 財政史 / 政府間財政関係 / 義務教育費 / 国庫補助金 / 地方交付税 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度においては主に大きく2つの作業を行った。第1に1920年代の地方財政運営、とりわけ農村部である町村財政が、当時の中央政府との関係のなかでどのように運営されていたのかについての研究を行い、学会報告をした。第2に、新たな研究で使用する1次資料の収集と精読を行った。 まず学会報告について整理する。これまでの財政史研究では戦前期の地方自治は概ね「官治的」な自治、が行われていたと指摘されてきたが、研究代表者は大正デモクラシー下において多様な地方の自治・財政運営が行われていたとの観点から、1920年代の町村における自治と政府間財政関係について検討した。当時の町村は第1次大戦以降の地方財政の膨張に対応せざるをえなかったため、国庫補助金が増額される一方で、戸数割の重課を強め、さらに足りない財源に対しては地方債発行を行っていた。このように地方の財源は地方でまかなうといった「古典的」自治の要素の強い町村財政運営が行われていた事実がある一方で、従来なされてきたような「古典的」あるいは「官治的」な自治のどちらが行われていたのか、といった議論ではとらえきれない地方自治の態様を研究し、日本地方財政学会において報告した。学会報告を通して得られたコメントなどをふまえて内容に修正を加え、学術雑誌に投稿するべく論文を作成をすすめた。 次に、国立国会図書館や各大学図書館などにおいて資料収集を行った。昭和財政史資料、農政研究、帝国農会報などの膨大な資料を今年度、来年度において活用するべく調査、収集することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を学会で報告し、新たな論文作成のための資料収集を行うことができたことなど、研究計画と大きな相違のない進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は1930年代、つまり昭和恐慌期から高橋財政期・準戦時期をへて、1940年の地方分与税成立いたる時期を検討することになる。これにより戦前期の地方自治と政府間財政関係の関連を当該研究の観点から明らかにすることができると考えている。また、必要に応じてさらなる資料収集などを行う。
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Research Products
(2 results)