2014 Fiscal Year Annual Research Report
高熱安定性シトクロムcを利用した生体内タンパク質高次構造体形成の機構解明と制御
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14J10305
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
林 有吾 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 二量体 / 多量体 / シトクロムc552 / 安定性 / ドメインスワッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸菌内で好熱菌cyt c552が多量化しているかを確認するため、好熱菌cyt c552を発現させた大腸菌から好熱菌cyt c552を抽出し、ゲルろ過クロマトグラフィーで分析した。ゲルろ過クロマトグラフィー溶出曲線では、好熱菌cyt c552単量体の溶出ピークに加え、好熱菌cyt c552多量体と思われる溶出ピークも観測された。SDS-PAGEより、多量体と思われる成分は、好熱菌cyt c552単量体が非共有結合的相互作用により会合した多量体であることが示唆された。大腸菌の培養時間を区切って好熱菌cyt c552発現量と多量体形成量の関係を調べると、発現量の増加に伴って多量体量も増加した。好熱菌cyt c552(野生型)と変異導入により安定性を下げた好熱菌cyt c552(変異型)の発現系における発現量と多量体形成量を調べると、変異型は野生型より発現量は多かったが、多量体量は減少した。これらの結果より、タンパク質の量や安定性が大腸菌内での多量体形成に影響することが分かった。His-tagを導入した野生型および変異型好熱菌cyt c552発現系を構築した。His-tag付野生型および変異型好熱菌cyt c552を大腸菌から抽出し、Niアフィニティーカラムで分析すると、単量体と多量体が観測された。多量体の溶出位置におけるカラム溶出液のMALDI-TOFマススペクトルでは、野生型ではホロ体に加えてアポ体の分子量と一致するピークが観測されたが、変異型ではホロ体の分子量ピークしか観測されなかった。これらの結果より野生型の発現系では、大腸菌内においてホロ体とアポ体が複合体を形成している可能性が示唆された以上結果より、大腸菌のペリプラズムではアポ体とホロ体が複合体を形成し、このホロ-アポ複合体の安定性が高いと多くの多量体が形成されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究により、タンパク質の安定性やタンパク質量、ホロ型タンパクとアポ型タンパクの相互作用など生体内におけるタンパク質多量体形成において有意義な知見が得られたため、研究はおおむね順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
タンパク質の安定性が大腸菌内でのタンパク質多量体形成において重要であるか否かをより詳しく調べるため、シトクロムc以外のタンパク質についても研究する予定である。
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Research Products
(2 results)