2015 Fiscal Year Annual Research Report
結社から見た地域活性化のプロセスの解明-協働のまちづくり論の再構築へ向けて
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14J10321
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 吉朗 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 経済人的市民参加 / 自発的結社 / 経済団体 / 市民社会 / 地域社会 / まちづくり / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度行った調査を更に深めるとともに対象地を広げて対象となる経営者層の結社の通時的・共時的実態について理解を深め、包括的に体系化することを目指しつつ以下の4点を中心に研究を進めた。 1.経営者層の結社の組織的内実の調査・分析として、様々な地域及び海外の青年会議所についてインタビューや資料収集を行った。深谷青年会議所については商工会議所関係者へのインタビューを行い、商工会議所・青年会議所間の関係性が明らかとなった。東京青年会議所についても事務局長へのインタビューと記念誌の分析を行い、経済団体としての特性や、統括団体の日本青年会議所との独特の関係性などが明らかとなった。ケルン青年会議所については、ケルン経済図書館に所蔵された設立初期の膨大な一次文献の一部を渉猟した。アメリカ青年会議所については幾つかの文献収集に加えて、インターネット電話によるヒアリングを行い、ビジネスクラブ的なタイプと社会志向タイプの会議所が併存する状況が明らかとなった。 2.経営者結社の関わった地域活動に関しては、主に埼玉県深谷市の「深谷まつり」と深谷青年会議所の関係についての調査を前年に引き続き行った。特に青年会議所の外部の、深谷まつりの中核である八坂祭の伝統的な運営体制を支えるお囃子会や「かしら」といったアクターの性質についての知見を得ることができた。 3.地域経営者のライフコースに関する調査として、飯塚と深谷において、青年会議所の会員・元会員へのインタビューを行った。深谷については青年会議所からライオンズクラブ・ロータリークラブ・商工会議所青年部などの諸組織への会員の移動についての知見が得られた。飯塚においては類似の知見が既に得られていたため、こうした進路を進まない、経営者以外の青年会議所会員へのインタビューを行った。 4.上記に加え経営者層と市民社会に関する様々な既存研究のレビューも行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はこれまでの調査を更に深めこれまで明らかになっていなかった点を明らかにするとともに、海外での調査結果を含めて知見を包括的に体系化することを目指した。概ね順調に調査を進め、十分なデータを得ることができた。また、論文投稿も行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまだデータが不足しているアメリカの青年会議所の事例についての調査や国内の地域の経営者のライフコースに関する調査をすすめるとともに、これまで積み上げてきたデータを整理統合し、とりわけまちづくりに関わる市民社会と結社という観点からの理論的分析を行うことを目指す。
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Research Products
(2 results)