2014 Fiscal Year Annual Research Report
低エネルギー重陽子照射によるバブル核融合の成否に関する研究
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14J10421
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
本多 佑記 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 低エネルギー核反応 / 核融合 / 超音波 / 遮蔽効果 / 液体金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では重陽子を照射している液体金属に超音波を作用させ重陽子プラズマを作成し、その重陽子プラズマと入射重陽子間での核反応を観測することによって、重陽子プラズマの温度、密度の測定を行う。 本研究ではまずは液体金属にリチウムを用いる。そのためにグローブボックス及び真空チェンバーの整備を行い、清浄な液体リチウム標的の作成に成功した。作成した液体リチウム中に重陽子を照射し、d+d反応及びLi+d反応の観測を行ったがスペクトルや収量に超音波on/offで有意な差は見られなかった。このことから振動系の調査を行うとBLTが劣化している上にホーンの形状に問題があり、超音波振幅が非常に小さくなっていたことが分かった。そのため、振動系の再設計を行い、現在はターゲットホルダーの形状を最終調整中である。 振動系の問題が見つかった後はその再設計と並行して光電子増倍管を使用したソノルミネッセンス観測の準備や、分子ビーム固有のバックグラウンドの研究を行った。本実験では標的重陽子に数百eVの熱運動が予想されるが、それに対して数~数10keVの重陽子ビームを照射し、d(d,p)t反応によって生じた陽子のエネルギー分布からターゲット重陽子の温度を推定する。よって、同一の統計量であれば入射重陽子のエネルギーが低いほうが温度の精度が高くなる。現在のビーム照射装置では低いエネルギーでの測定(E≦10keV)にはD2+、D3+などの分子ビームを用いる必要があるが、これらの分子ビームを用いると同一分子内の重陽子同士でd(d,p)t反応が生じ、本研究でのバックグラウンドとなる。また、この反応は液体金属中での遮蔽効果の測定に適した反応でもあったため、このバックグラウンドに対する系統的な研究を行い、得られた知見についてHAWAII2014及びJPS2015で報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は超音波振動系の設計と作成に時間がかかり、液体リチウムでの本格的な実験を行うことができなかった。しかし、振動系の作成はほぼ完了しており、平成27年度5月には本実験が開始できる予定である。 当初の予定よりも多少遅れているためにこの評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは液体リチウムを溶媒としたキャビテーション内部の重陽子温度及び密度の測定を行う。その後、金属をガリウムに変更し同様の実験を行う。それらに並行して数μ秒以内にビームを遮断するビームディフレクターを作成し、バブル核融合を起こす可能性があると判断できた金属があれば、バブル核融合によるd+d反応が生じるかを観察する。 これらを来年度の前半に行い、後半は実験から得られた知見を論文にまとめる。
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Research Products
(2 results)