2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J10502
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高野 慎二郎 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | クラスター集積体 / チオラート保護金クラスター |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は配位子保護金クラスターを構築素子とした集積体の構築を中心に行った。表面に配位活性サイト(ピリジル基)を持つチオラート保護金25量体クラスターを新規に合成し、紫外-可視吸収スペクトルおよび、質量分析により目的クラスターを同定した。このクラスターを用いて、二価金属イオンと錯形成を行い、クラスター配位高分子を得た。結晶性は高くないものの、短距離の秩序だった構造は持っていることが粉末X線回折の結果から示唆されており、現在活性化法の検討および触媒反応への展開を進めている。 また、別の配位活性サイト(カルボキシル基)を持つクラスターの利用を考え、そのようなクラスターを合成したところ、これまでに報告例のない新規なチオラート保護金クラスターを得たので、その評価を並行して行った。この新規金クラスターは近赤外領域に強い明瞭な吸収バンドを示した。その幾何構造を粉末X線回折パターンから推定したところ、一次元的な構造を持つことが示唆された。特異な近赤外領域の吸収構造の起源は、この一次元的な幾何構造による長軸方向の表面プラズモン共鳴、またはクラスター連結体における離散化した状態間の遷移であると考察した。この結果に関してはすでに学会発表及び、筆頭著者として論文を投稿中である。 共同研究として、チオラート保護金クラスターの電子、幾何構造とサイズの関係に関する研究を行った。具体的な貢献としては、組成が厳密に規定された様々なサイズの金クラスターの極低温吸収分光を行うことで、電子構造があるサイズの間でバルクの性質を示すことを明らかにした。この性質の変化は幾何構造の変化とも対応していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標とした秩序構造を持つクラスター集積体の構築自体には成功した。しかし、その結晶性は高くなく、単結晶のような高秩序構造を得るには至らなかった。また、触媒反応への展開はできておらず、次年度の課題といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、配位活性サイトを用いたクラスターの集積化には成功しているが、その結晶性は高くない。この状態でも適切な活性化方法を検討することにより触媒反応へは展開することはできるとは考えられるが、内部空間の均一性などといった面で、反応を再現性良く行うことが難しくなる可能性が高い。現在、結晶性の低さは、構築素子として用いた金クラスターの配位活性サイトがネットワーク構造を構築するには多すぎるためであると考えており、その点を改善した、厳密に配位サイトを設計した金クラスターの合成を検討し、より結晶性の高いクラスター集積体を構築することを予定している。その上で、現在得ている結晶性の低いクラスター集積体を用いた活性化方法の検討から得られた知見を用いて、触媒活性を持つ結晶質のクラスター集積体を得ることを考えている。
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Research Products
(4 results)