2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J10546
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
池田 功毅 中京大学, 心理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 注意 / 実行機能 / 事象関連電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の主題である注意効果の検討のためには、微細かつ正確な脳波成分の測定が重要であるため、平成27年度、当該研究員は、注意課題を用いた脳波(事象関連電位; ERP)測定の方法論的基礎の検討を行った。検討対象としては、研究員が以前行った顔表情に対する自動的な注意捕捉効果を用いた(Ikeda, Sugiura, & Hasegawa, 2013)。この効果は頑健ではあるものの微細であり、正確な脳波成分の測定が求められるものである。 結果、予測通りN2pcに類似したERP成分を観測することに成功したが、必ずしも頑健と言えるデータではなかった。先行研究と同様に、課題関連ターゲット(バー)に対するN2pcと比較して、表情顔に対するN2pcは極めて微細であったが、先行研究とほぼ同様のデザインで測定されたにも関わらず、今回の測定結果は比較的不安定なものであった。このことは、表情顔に対して生じるN2pcが、必ずしも先行研究で報告されたような安定したものではない可能性を強く示唆している。 技術的に最も大きな問題と考えられたのは、確かにN2pcが予測される時間帯(刺激提示後170-270 ms)に陰性方向への電位差が確認されるものの、それが本当にシグナルとして、ベースライン区間(刺激提示前100 ms)において観測されている自発的なノイズから区別されるかどうかという点である。本研究で検討を予定している他の諸効果についても、その効果量の大きさは未知数であるため、できる限りシグナルを頑健に検出する方法の特定が必須である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の要となる注意捕捉機能に関する ERP 成分を安定して頑健に検出するための方法論の確定に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では上記データについてさらに検討した後、最も効果的な方法を特定し、他の注意セット効果の検討を行う。今後はpermutation法(Sawaki, Geng, & Luck, 2012)や状態空間モデルなどを用いて、統計的手法にシグナルを分離するか、あるいはより効果量を大きくする実験デザインを検討する。
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Research Products
(2 results)