2014 Fiscal Year Annual Research Report
中韓医学における人体原理及び心身修養に関する思想史的考察
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14J10576
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金 兌垠 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 養生論 / 中韓医学交流 / 儒医 / 中国医学 / 朝鮮医学 / 東アジア医学史 / 修養論 / 道教と医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
『東医宝鑑』の医学体系に含まれている養生と修養の思想をテーマとして朝鮮社会の中国道教及び儒教受容様相に着目する研究が行われた。中国から朝鮮半島へ流れる医学と思想を検討しつつ『東医宝鑑』の成立意義と独創性について明らかにした。 1.『東医宝鑑』の成立背景と編纂過程として『東医宝鑑』の成立以前、医学と社会の情況、中国と朝鮮との医学交流、『東医宝鑑』成立以前の医療実情、『東医宝鑑』編纂の基盤になった医書、『東医宝鑑』の編纂過程及び参与人物の特性を分析した。 2.道教的人間観による『東医宝鑑』の構成体系を調べ、全体目次の紹介、各編制が持っている意義について研究した。たとえば『東医宝鑑』の道教的人体観を①身形藏府圖、②精・気・神、③五臓六腑、④感覚器官とに分けて論じる形で行われた。 3.『東医宝鑑』養生論の成立における道教と儒教の受容様相について考察した。 中国道教の養生論と修養に関する論議として中国における養生説の展開過程を検討し、養生と養性、欲望と過度さを節制、性と心に関する論議(道教と儒教の共通性と差異)を原文よりまとめた。この作業のために朝鮮時代の養生説が中国の養生論伝統を継承した側面について、朝鮮に道教が流入された様相について叙述した。 4.宋明の儒学思想による新医学思潮について研究した。たとえば、宋明理学の流行と儒医の出現、儒医たちの儒教的修養論による「金元四大家」医学の形成、儒学の心性修養論と『東醫寶鑑』というテーマを中心にして『東医宝鑑』原文を分析した。また、『東医宝鑑』の成立における朝鮮儒学者の影響について研究した。まず、中国医学や養生術が朝鮮に来て医学・思想的に特殊化された部分があるかどうかについて考察する内容である。なお、朝鮮性理学者による医学研究が『東医宝鑑』の内容に反映された様相について研究するために、韓国韓医学博物館の資料をまとめて論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『東医宝鑑』の成立背景についての調査が順調に行われた。韓国韓医学博物館の資料を基本として概要を整理し、単行本『中国医学史』・『韓国医学史』を通じて朝鮮の医学書が成立する時期の社会・思想的状況について論議をまとめた。『東医宝鑑』の構成体系が持っている道教思想的要素についても参考文献を通じて分析した。特に「儒医」という儒教思想に基づいた医学者による医書執筆についても歴史的状況を調べておいた。もっと詳しい論議は、今後の課題にする。
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Strategy for Future Research Activity |
道教と儒教が医学書の内容にどのような形で反映され、両思想の差異は何かについて考えてみたい。このためには『東医宝鑑』の原文分析を通じて人体と修養の関係において道教と儒教がどのような立場差異を持っているのかを区分する作業になると見える。なお、朝鮮の性理学的雰囲気の中で朝鮮の儒学者による参与様相について調べてみたい。何よりも道教の人体理論が『東医宝鑑』の本文に反映されている内容を原文比較の形式で行う予定である。
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Remarks |
民族医学新聞、989号
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Research Products
(1 results)