2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J10624
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柏 達己 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 古代ギリシア / アテナイ / 公職者 / 五百人評議会 / 民会 / エイサンゲリア / 弾劾裁判 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、研究対象であるアテナイ公職者制度に関し、特に司法的側面に着目して研究を行った。特に利用した史料は、伝アリストテレス『アテナイ人の国制』、アッティカ法廷弁論、アリストパネス喜劇、トゥキュディデスやプルタルコス『対比列伝』といった叙述史料、前5-4世紀の碑文史料等であり、合わせて関連する英語・仏語・独語の研究文献も参照した。そうした研究の成果の一部として、アテナイの公職者、特に五百人評議会と深い関わりをもつエイサンゲリア(弾劾裁判)と呼ばれる訴訟手続きについて、2度にわたって研究報告を行った。この研究報告は、エイサンゲリア手続きに関し、特に2001年に公刊されたフランスの古典学者ルイ・ジェルネの遺稿で展開された議論をベースにしながらも、それをさらに発展させるかたちで論じたものであり、従来のアテナイ裁判手続きに関する通説的理解を大きく覆すものであると考えている。 また、本研究の対象と密接な関わりをもつアテナイ財政制度に関する英語文献の書評を執筆し、当該年度中に掲載された。 さらに、平成26年6月には京都大学図書館にて、伝アリストテレス『アテナイ人の国制』パピルス断片のファクシミリを閲覧・調査したほか、同年8月にはギリシアおよびイギリス・オックスフォード大学にて研究調査を行った。現地の考古学的遺物・碑文を実見し、日本では入手不可能な文献を閲覧するとともに、国外の研究者と自身の研究について議論し、有益な助言を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、研究に関連する史料・研究文献の収集および読解を予定通り進めることができた。また、ギリシアおよびイギリス・オックスフォード大学においては文献収集の他、日本では研究困難な考古学的・碑文学的知見を得ることができ、現地の研究者からの助言も得られた。研究成果の公表に関しても、2度の学会発表において、アテナイ裁判手続きに関する新たな知見を提示することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は特に司法的側面に着目して研究をすすめたため、今後はアテナイ公職者制度の他の側面についても研究を行い、その成果を積極的に公表していきたいと考えている。また、平成26年度に行った学会報告については当該年度中の論文公刊には至らなかったものの、既に論文としての骨格は有していると考えているため、論文執筆・投稿の準備を進め、平成27年度中の公刊を目指したい。さらに、現地ギリシアでの研究調査についても、継続して行っていきたい。
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Research Products
(3 results)