2015 Fiscal Year Annual Research Report
超高速MOSFET実現に向けたゲルマニウムスズ選択成長および局所歪技術の確立
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14J10705
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
池 進一 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | IV族半導体 / Ge / GeSn / 有機金属原料 / 化学気相成長法 / n型ドーピング / マイクロ回折 / 局所ひずみ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では次世代集積回路の創成に向けて、従来のシリコン(Si)プロセスとの親和性が高いゲルマニウム(Ge)をベースとしたIV族混晶半導体の高品質形成および歪制御技術の確立を目指す。本年度は、第一年度目に確立した有機金属化学気相成長法(MOCVD)によるゲルマニウム-スズ(GeSn)薄膜の成長技術をもとに、1. サブミクロンオーダのGe/GeSnヘテロ微細構造の作製および構造内部の局所歪評価、2. MOCVD法を用いたn型Ge薄膜の形成を中心に研究を実施した。本年度に得られた成果を以下に示す。
1. MOCVD法を用いて、Ge細線幅30-100nm/細線ピッチ500nmの構造を有するパターンGe基板上へSn組成3.5%-5.7%のGeSnストレッサの形成に成功した。これらのヘテロ微細構造に対して、放射光マイクロ回折法を用いて局所歪解析を行なった。Ge細線幅の縮小およびストレッサGeSn層のSn組成増大に伴い、誘起される歪量が系統的に増加することが実験的に明らかとなった。特に細線幅30nm、Sn組成5.7%の試料において歪量0.88%の圧縮歪Geの形成を実証した。これは現行の圧縮歪Siチャネルの正孔移動度を凌駕する歪量に相当する。
2. n型不純物はp型の場合と比べてGeへの平衡固溶限の低さが問題となっている。低温領域で結晶成長可能なターシャルブチルゲルマンをGe原料として選択し、非平衡的な成長により固溶限を超えるn型ドーピングを試みた。n型不純物として最も平衡固溶限の高いリン(P)を選択し、原料ガスはトリエチルリンを使用した。高抵抗Si基板上に、様々な成長温度、P原料ガス供給量を変化させ、Ge薄膜のキャリア物性評価を行なった。SIMS測定によりGe膜中のP濃度はP原料ガス供給量に比例して増大し、平衡固溶限を超えるP濃度8x10の19乗 atoms/cm3を達成した。今後、格子定数差のないGe基板上への成長に移行し、活性化P濃度の向上を目指す。さらにGeSn層へのPドーピングへ展開し、詳細な電気的特性を調査する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画であった、サブミクロンスケールのGe/GeSnヘテロ微細構造の作製に成功し、放射光X線マイクロ回折法を用いた局所歪の定量評価は順調に進展している。 一方で、単結晶/絶縁膜基板上への選択成長についてはGe層では達成しているものの、GeSn層では未だ達成できていないため、現在調査を続けている。 また、最終年度に実施予定であった不純物ドーピングについては前倒しで先行実験を行ない、GeSn層へのn型ドーピングに向けての知見が蓄積されている。
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Strategy for Future Research Activity |
Ge系混晶半導体をベースとした省電力トランジスタあるいはオプトエレクトロニクス応用に向けて、これまでに開発を進めてきたエピタキシャルGeSn薄膜の結晶成長技術と、現在進めている不純物ドーピング・選択成長技術を融合する。最終的にはデバイス作製・特性評価へと研究を推進する。
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Research Products
(21 results)