2014 Fiscal Year Annual Research Report
不確実環境下における航空機のコンフリクトフリー4次元軌道最適化
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14J10766
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松野 賀宣 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 航空交通管理 / 航空宇宙工学 / 不確実性 / 最適制御 / サロゲートモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、航空交通需要は増加の一途をたどり、現在の航空管制システムでは、航空管制官のワークロードの限界、安全性への脅威等、様々な問題が顕在化しつつある。そのため、航空管制官のワークロードを軽減し、安全性を確保した上で交通容量の拡大を図るには、航空管制システムの自動化が不可欠となる。そこで本研究では、航空管制官の主な役割である航空機のコンフリクト検出および回避手法を新たに構築する。 平成26年度は、風等の飛行中の不確実環境を考慮し、コンフリクト検出および回避のための確率的手法を新たに提案した。そして、2次元平面内でのコンフリクト状況を設定し、提案手法の有効性を、数値シミュレーションにより示した。提案手法を適用することで、従来手法に比べて大幅に計算コストが減少できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
飛行中の不確実環境として風速の予測誤差を扱い、多項式カオス展開を用いたコンフリクト検出手法を構築した。提案する確率的手法により不確実性の定量化を効率良く行うことができ、莫大な計算コストを要するモンテカルロ法等を用いた従来手法に比べ、大幅に計算コストを減少することができた。 次に、決定論的最適制御手法として近年注目されている擬スペクトル法に、多項式カオス展開を適用し、確率的最適制御手法を提案した。そして、コンフリクト検出手法を組み込み、コンフリクト回避のための確率的最適制御手法を構築した。 さらに、実時間でのコンフリクト回避を可能にするために、最適なコンフリクト回避軌道のサロゲートモデルを、多項式カオスクリギングにより構築した。サロゲートモデルを用いることで、実際に確率的最適制御問題を解くことなく、準最適なコンフリクト回避軌道を、実時間で高精度に生成することができた。 これら提案手法の有効性を、2次元平面内でのコンフリクト状況を設定した数値シミュレーションにより示した。また、提案手法を適用することで、従来手法に比べて大幅に計算コストが減少できることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、本年度に考慮した2次元平面内での航空機の運動モデルの複雑化を行う。本年度で扱った運動モデルに垂直面内を加えた3次元空間での運動を考慮することで、提案するアルゴリズムの拡張を図る。また、設定するコンフリクト状況としては、航空機が非常に密集している羽田空港周辺の空域を設定し、数値シミュレーションを行うことで、提案するアルゴリズムの汎用性を高める予定である。対象とする航空機数が多くなることが予想されるため、並列計算等により解析効率の向上を図ることが考えられる。さらに、実際の運航データと本研究で構築するアルゴリズムとの比較検討をし、アルゴリズムの有効性を定量的に評価する予定である。
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Research Products
(5 results)