2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規高機能性非対称スターポリマーの精密合成と自己組織化によるナノ周期構造の観察
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14J10771
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 祥太郎 東京工業大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | リビングアニオン重合 / スターポリマー / ブロック共重合体 / 精密合成 / ポリ(3-ヘキシルチオフェン) |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の化学種のポリマーが中心の一点で結合した構造を有する非対称スターポリマーは、直鎖状ブロック共重合体と異なる自己組織化挙動を取るため、注目を集めている。しかしながら、その精密合成は極めて困難であり、化学種と一次構造を自由に設計できる合成法の開発が求められている。近年我々はリビングアニオン重合法とポリマー同士の結合反応を用いて、ポリスチレン(PS)、ポリ(2-ビニルピリジン)(P2VP)、ポリメタクリル酸エステル類からなる非対称スターポリマーの精密合成に成功している。 本年度は、ブロック間にアニオンを有するブロック共重合体鎖中アニオンを用いた新規合成法を開発し、効率的に腕数を増加させることで、9本鎖9成分からなる新規スターポリマーの精密合成に成功した。腕セグメントとして、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリメタクリル酸エステル類を用い、親水性、水溶性、pH応答性などの機能性を有するポリマーの導入が可能であった。 また、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)含有非対称スターポリマーの合成法の開発も行った。P3HTは剛直な主鎖構造と結晶性を有しており、得られるスターポリマーの自己組織化挙動に興味がもたれる。一方で、ブロック共重合体への導入は困難であった。我々は、これまでのアニオン重合法を基にした合成法と熊田触媒移動重合により合成した末端官能基化P3HTを利用することで、P3HT、PS、P2VPからなるABC型非対称スターポリマーの合成に成功した。P3HTを含むABC型非対称スターポリマーの合成は初めての報告例である。得られた非対称スターポリマーは設計通りの分子量と組成を有し、明確な一次構造をもつことが確認できた。得られた非対称スターポリマーの薄膜中では、P3HTとPS・P2VPドメインで相分離し、P3HTのナノフィブリル状の結晶ドメインが観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、リビングアニオン重合法を用いて、非対称スターポリマーに機能性セグメントを導入することに成功した。さらに、P3HTセグメントを含む非対称スターポリマーの新規合成経路を提案し、構造が厳密に制御されたABC型スターポリマーの精密合成に成功した。さらに、薄膜の相分離構造についても明らかにした。次年度では、より構造の多様なスターポリマーの合成と解析が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で述べたように、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)含有ABC型スターポリマーの薄膜では、3成分すべてがはっきりと相分離する結果とはならなかった。より明確な相分離構造の把握を目的として、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)を用いたスターポリマーやブロック共重合体を合成し、解析を行う。 また、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリメタクリル酸メチルからなるスターポリマーの一次構造を変化させ、ミクロ相分離構造に与える影響について検討する。
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Research Products
(7 results)