2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J10846
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森脇 崇史 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞骨格 / 微小管 |
Outline of Annual Research Achievements |
α/β-チューブリンダイマーの重合体である微小管は、伸長と短縮を繰り返す動的な構造物であり、真核生物の生命活動の広範にわたって重要な役割を果たす。また、それには微小管結合タンパク質 (MAP) による微小管プラス端の動態制御が必須である。これまで、複数のMAPとチューブリンを反応させることで微小管プラス端動態のin vitro再構成が試みられてきた。しかし、伸長期、短縮期、休止期がランダムに現れる細胞内の動態は再現されていない。また、細胞分裂期の動態は場所的に異なり、分裂期中心体から伸長する微小管 (中心体微小管) は休止期が少なく動的なのに対し、分裂期染色体上の動原体に結合した微小管 (動原体微小管) は低速度で伸長し続ける。これらの細胞周期や部位による動態の違いの分子基盤も明らかではない。 本研究では、ショウジョウバエ細胞で微小管プラス端動態に影響を与えることが知られている5因子およびショウジョウバエS2細胞由来のチューブリンを精製し、in vitroの微小管動態再構成実験により解析した。その結果、全ての因子を反応させたときに伸長、短縮、休止を繰り返す微小管が生み出され、このときの伸長速度、短縮速度も細胞内のものに近い値が得られた。興味深いことに、動態の様式は因子の1つのタンパク質の濃度に依存して、大きく変化した。低濃度の条件では動的に伸長と短縮を繰り返しながら、ある頻度で休止期が観察された。また、高濃度の条件では短縮頻度が減少し、全体として緩やかに伸長する微小管が観察された。この結果から、微小管プラス端動態のin vitroでの忠実な再現に近づいたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
5因子を加えたin vitro再構成実験を行い、細胞内に近い微小管動態を生み出すことに成功した。この際、同種由来のチューブリンを用いることで、より理想的な再構成系が構築された。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は細胞周期や場所による微小管動態の違いの分子基盤を解明するため、タンパクの修飾状態が動態に影響するかを解析していく予定である。
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