2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J10871
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松岡 謙晶 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | リーマンゼータ関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
Hardy関数はRiemannゼータ関数の臨界線における挙動の解析を行う上でとても重要な実数値関数です。例えば、臨界線上にRiemannゼータ関数の零点が無限に存在することはよく知られている事実だと思いますが、Hardy関数(に重みをつけた関数)の積分の値を考察することにより、この事実が証明されることが知られています。このように、Hardy関数は、Riemannゼータ関数の臨界線における挙動、特にRiemannゼータ関数の臨界線の零点の挙動と大きく関わっていることが知られています。Riemannゼータ関数は複素数値関数ですが、Hardy関数は実数値関数なので、Hardy関数のほうが扱いやすい部分も多いのですが、Hardy関数の挙動も非常に複雑でまだまだわかっていない部分が多いというのが現状だと思います。 Riemannゼータ関数に関係がある予想として、有名なRiemann予想のほかにMontgomery-Odlyzko予想という重要な予想があります。この予想はRiemannゼータ関数の零点と零点との間隔に関する予想なのですが、ある意味で数理物理とも関係していて非常に興味深い予想ということが言えると思います。Riemannゼータ関数の零点と零点との間隔がどのくらい離れているのかという問題へのアプローチは色々な方法がありますが、HallはHardy関数の導関数の平均値を使う方法を考えました。この方法は、Hall自身が示したHardy関数の導関数の平均値の結果をもとにするもので、Hardy関数の導関数の挙動の解析の重要性を指摘した論文ともとらえることが出来ると思います。 本年度の研究成果として、Hallが示したHardy関数の導関数の平均値の結果を改良することが出来ました。しかし、零点間の距離の問題へ応用する為には、もう少し深い考察が必要だと思います。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の具体的な方針が定まり、自分の中で感覚をつかめたような感触があったから。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に用いた手法を生かして、さらに深くHardy関数を考察する。 また、その応用についても考察する。
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