2015 Fiscal Year Annual Research Report
現地調査と数値計算に基づく2011年東北沖津波の挙動と堆積物分布との関係性の解明
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14J10914
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阿部 朋弥 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 2011年東北地方太平洋沖地震津波 / 津波 / 津波堆積物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,2011年東北地方太平洋沖地震津波による浸水被害を受けた宮城県山元町と福島県南相馬市に位置する2つの谷底平野を対象として,高精度な津波遡上計算に基づく津波の挙動と,現地調査や堆積学的分析に基づく津波堆積物の空間的特徴とを比較した.その結果,津波の挙動と津波堆積物の局所的変化・全体的変化との関係について,次のことが明らかになった.津波堆積物の局所的変化は,微地形の凹凸による津波の挙動の違いが大きく反映されることがわかった.そのため,これまで津波堆積物の分布特徴との関係が多く議論されてきた掘削地点を特徴づける絶対的な指標(海岸線からの距離,標高)だけではなく,相対的な地形的位置付け(周囲の地形との関係)も考える必要があることがわかった.次に,津波堆積物の全体的変化については,内陸に向かって,津波の持つ土砂運搬能力や供給される堆積物の量・粒径が減少するのにしたがい,津波堆積物が薄層化・細粒化することが明らかになった.また,津波堆積物中の様々な堆積構造は,各堆積構造が形成されるために必要な水理条件や供給粒子の条件に応じた分布の開始地点や分布限界を持っていた.そのため,古津波堆積物中の堆積構造の情報は古津波の水理条件(流速,浸水深)を推定する上で重要な情報となると考えられる.また,谷底平野においては,押し波による岸沖方向の全体的な堆積傾向は測線上で十分捉えることができるが,引き波による侵食の強さは,海岸線と平行方向に大きく変化し,谷筋などの相対的に標高が低い場所に集中する特徴が見られたので,測線調査では引き波の影響を十分に捉えることができない可能性がある.そのため,古津波調査において,津波堆積物から引き波の特徴を推定するためには,津波堆積物を面的に調査することが有効であると考えられる.
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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