2014 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュ河川水のマグネシウム・ケイ素同位体比から探る岩石風化と炭素循環
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14J10963
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
眞中 卓也 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | バングラデシュ / ヒマラヤ / 化学風化 / マグネシウム同位体 / ケイ素同位体 / 河川 / 同位体地球化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) Mg同位体に関する研究について:先行研究のMg分離手法に倣い、バングラデシュ河川水の溶存Mgの同位体分析を行った。またMg同位体の挙動に関する他の論文を取りまとめ、私たちが得たデータを他の河川と比較・検討した。この過程で得られた知見に関しては、和雑誌「地球化学」に総説論文として投稿し、採択が決定した(眞中卓也, 吉村寿紘 (2015) 化学風化と河川におけるマグネシウム同位体比の挙動, 地球化学, 49(1), 45-58)。また私たちのサンプルの分析からは、①ガンジス・ブラマプトラ川のMg同位体は上流の地質の影響を強く反映していること、②世界の河川の平均値と比較してわずかに小さい同位体比を示すこと、が明らかになった。今後は追加分析を行い、最終的には国際誌へ投稿する。
2) Si同位体に関する研究について:今年度の後半より、産業技術総合研究所のクリーンルームを利用して、Si同位体分析に向けた準備を行ってきた。具体的には、分析に利用するカラムやバイアルの選定や洗浄を行い、分析環境を整備した。その上で河川水の標準物質を使って、陽イオン交換樹脂でのSi単離実験を繰り返し行った。現時点ではSi回収率の再現性が悪いため、今後はSiを溶出する際のサンプルの酸濃度やローディング量、樹脂のエイジングなど、様々な影響因子を考慮して実験を継続する必要がある。
またこれまでに行ってきた研究(陸水のより短期的な炭素循環、他のヒマラヤ水系の化学風化について)についても、積極的に学会発表および論文執筆を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Mg同位体については、これまでに得られた知見を取りまとめ、和雑誌「地球化学」に総説論文として発表することができた。私たちのサンプルについても一通りの分析を行うことができた。Si同位体については、現時点では分離手法の開発段階に留まっている。今後も実験を継続し、同位体の分析を遂行したい。
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Strategy for Future Research Activity |
Mg同位体については分析結果を踏まえ、論文執筆を行う。Siについては繰り返し実験を行い、Siの分離法を確立したい。その上で同位体分析を行い、結果をMg同位体比と組み合わせることによって、本地域の複雑な岩石風化および流下過程での反応を理解し、ヒマラヤが炭素循環や気候変動の中で果たす役割を明らかにしていきたい。
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[Presentation] Spatial and seasonal variation of surface water pCO2 in the Ganges, Brahmaputra, and Meghna rivers in Bangladesh: implications for its impact on the local and global carbon cycle2014
Author(s)
○T. Manaka, H. Ushie, D. Araoka, S. Otani, A. Inamura, A. Suzuki, H. M. Zakir Hossain, and H. Kawahata
Organizer
AGU Fall Meeting 2014
Place of Presentation
San Francisco, USA
Year and Date
2014-12-15
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