2014 Fiscal Year Annual Research Report
コンドリュールの超高精度安定同位体分析による初期太陽系の物質循環プロセスの解明
Project/Area Number |
14J11125
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥井 航 東京工業大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 始原的隕石 / コンドリュール / 超高精度ストロンチウム同位体比 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は初期太陽系内の物質循環・物質進化プロセスを明らかにすることである。この問題は、始原的隕石の主要構成要素であるコンドリュール(直径1mm程度の球状ケイ酸塩)がどのようなプロセスを受けて形成したのかという疑問と深い関係にある。本研究の初年度の今年は、Allende隕石から摘出した個々のコンドリュールの超高精度ストロンチウム安定同位体比(84Sr/86Sr比)を測定し、主要元素組成、鉱物学的観察で得られた結果を組み合わせて総合的解釈を行った。その結果以下の2点の結論を得た。 (1)コンドリュールのストロンチウム同位体比は、始原的隕石の他の主要構成要素であるCAI(太陽系の最初期に凝縮した物質)とマトリックス(nmからμmサイズのケイ酸塩微粒子)の両者が持つストロンチウム同位体比の間で変動すること。 (2)コンドリュールのストロンチウム同位体比は主要元素組成や鉱物学的観察と相関なく、コンドリュール自身のサイズと相関があること。即ち小さいコンドリュールほどCAI的な同位体比を持ち、大きいコンドリュールほどマトリックス的な同位体比を持つ。 これらの結果からコンドリュールは初期太陽系星雲内を彷徨っていた微粒子状態のCAIに、当時存在していたマトリックス的なダストが降着した物質が加熱を受けて混ざり合って形成し、より多くのマトリックスが降着して形成したコンドリュールほど大きく成長すると同時にマトリックス的なストロンチウム同位体比を持つと考察するに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンドリュールのストロンチウム同位体比がコンドリュールの大きさと相関があることを発見し、コンドリュール形成モデルを打ち立てるまでに至ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度はこれまでに得られた結論を裏付けるために追加データの集積に努め、他の研究者たちと議論を煮詰め、論文の執筆を行う。 今年度は炭素質コンドライトであるAllende隕石に注目して研究を進めてきた。来年度は他の種類のコンドライトのコンドリュールで同じ傾向が見られるかという点に着目して研究を進める。
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Research Products
(4 results)