2014 Fiscal Year Annual Research Report
原子核乾板を用いた暗黒物質の方向探索実験に向けた解析システムの開発
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14J11132
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
桂川 貴義 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 原子核乾板 / 飛跡検出 / 方向情報 / 光学顕微鏡 / 検出効率 / 角度分解能 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度前期に暗黒物質探索用解析装置(修士の間に立ち上げと原理実証を行った)の性能向上を行い、従来機よりも読み出し閾値が改善したことを示した。これにより、200nmまでの極短飛跡を光学顕微鏡で100%の検出効率をもって解析可能になった。この結果について日本物理学会2014年秋季大会で発表を行った。また、2015年6月に国際会議ICAIで発表予定である(申込済み)。さらにこれまでの知見をすべて生かした読み出し装置2号機を現在立ち上げ中であり、間もなく稼働する。 平成26年度後期には、単色で方向の揃った炭素イオンをイオン注入装置を利用して検出器に照射することで、重イオンに対する検出効率の定量評価を行った。これは、暗黒物質による反跳シグナルに対する検出効率と同等の条件であり、最初のテスト実験を行うにあたり必須のデータである。同時に飛跡の方向決定精度(角度分解能)を評価し、良好な性能(350mrad)が出ていることとその主要なリミットは検出器との多重散乱成分(300mrad)であることを示した。これらの結果について、日本物理学会2015年春季学会で発表を行った。さらに、暗黒物質飛跡検出の国際会議CYGNUS2015(6月、アメリカ)で発表予定である(申込済み)。 また、イタリアのLNGSおよびNapoli大学と協力して、読み出し装置と解析システムを立ち上げた。これにより、イタリアでも同等の解析・スタディをスタート可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度9月を目安に最初のテスト実験をグラムスケールで行うことを現在目指している。そのためのプロポーザルの作製、およびその前のLetter of intentの作製をすべく若干の優先順位の変更はあったものの、当初の目的からは大きくはずれずに順調に研究を進めることができており、着実に目的に向かっている。今後も研究予定の前後はありうるがしっかりとテスト実験をやりとげる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、今回測定した検出効率に含む不定性を押さえきるための実験を行い、暗黒物質シグナルに対する検出効率とその時の角度分解能についての論文を一つ出すことを目指す。これは自分たちの実験のパフォーマンスを示す最初の論文であり、テスト実験のプロポーザルを作製するにあたって必須のものとなる。また、今後さらなる改善を行うときのベースとすることができる。 また、電子をメインとしたバックグラウンド事象に対しての除去効率を線源を用いて押さえることが次の大きな課題になる。これにより、検出器のスケールと露光時間の組み合わせにおけるバックグラウンドシグナル発生数を確定(または保障)することが可能になる。
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Research Products
(4 results)