2016 Fiscal Year Annual Research Report
地域森林管理における都道府県の役割と公益的機能:山梨県を事例とする歴史的実証分析
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14J11176
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山岸 健一 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 森林制度 / 法学 / 国家学 / シュタイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、森林管理において「とくに国家との対比のなかで都道府県が行政主体として果たしてきた役割を再評価すること」であった。しかし、昨年度までの調査・研究から国家林政の理解に関して無視できない史資料が見つかり、その内容を踏まえて既存の学説を再検討する必要が生じた。本年度は、とくに重要と考えられた19世紀後半のドイツ国家学の中での森林制度論(L.v.シュタイン『行政学綱要』)を検討した。 その趣旨は次の通りである。日本は明治維新に際して近代的な法制度・国家制度を欧米諸国に倣って整備したが、とくにドイツの法学と国家学に多くを学んだ。また、一般に、ある社会がもつ森林に関する権利制度や法令、監督組織等は、一方では森林分野に特殊な要素、すなわち森林の利用・管理形態が要請する固有の制度や林務当局・林学者の独自の継受・制度構築などに影響されるが、他方ではその社会の法制度や国家制度全般に通じる基本的な理念や思想にも影響されると考えられる。こうした視点からドイツの法学・国家学を扱う研究は、近代日本の森林制度を理解する上で重要な意味をもつと思われるが、ほとんどなかった。 得られた成果は次の通りである。シュタインは、抽象的・普遍的な人格の理念に基づく社会秩序と、社会生活の全体性を体現する国家の理念から、近代の法制度・国家制度のあるべき体系を展開する。また、法史的記述を通して、それらを歴史的に現実化されてきたものとして描く。そうした法制度・国家制度のうえで、個々人の私的利益に基づく資本形成と公共の利益に基づく行政が行われ、両者は、行政法上で全体利益を基準に私権と公権との関係として調整される、と考えられている。森林制度論も、同様の構図のなかで説明される。 これは日本の戦前戦後の法学諸分野の議論に通じる要素をもつとともに、これ自体として、従来の林政史研究での近代森林制度への理解を越えるものである。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)