2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS細胞由来ニューロンの成熟化を目指した3次元培養技術の開発
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14J11194
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
小田原 あおい 東北工業大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 3次元培養 / ヒトiPS細胞由来ニューロン / 脱細胞脳組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒトiPS細胞由来ニューロンを成熟化させる3次元培養技術の開発を行う。具体的には、神経細胞シートの積層化技術と生体脳と同等の細胞外マトリックスを有する脱細胞神経組織を用いた3次元培養技術を開発である。初年度は、成熟化を促す方法として①コラーゲンとゼラチンの相転移温度を利用した3次元神経組織の構築、②脱細胞脳組織を用いた3次元培養技術の検討、の2つの3次元培養技術の開発とヒトiPS細胞由来ニューロンとグリア細胞共培養(2次元培養)による機能的な成熟化を評価を行った。コラーゲンとゼラチンの相転移温度を利用した結果、150μm以上の3次元組織体の構築に成功し、長期間生存することを確認および、培養細胞から計測することが難しかったシナプス後電位を計測できる可能性が示唆された。さらに、より生体へ近づけた培養環境を構築するために脱細胞脳組織を用いた3次元培養の検討を行った。ブタ脳組織を用いて、脱細胞条件を明らかにし、凍結乾燥による粉末化および溶解条件を明らかにした。コラーゲンゲルに脱細胞溶解液を混ぜた場合、コントロールに比べヒトiPS細胞由来ニューロンの生存率の上昇および神経突起の伸長が促されることが明らかとなった。今後は、脱細胞溶液をゲル化させる条件を明らかにし、成熟化の評価をシナプス関連タンパク質の発現および電気活動に着目して調べる予定である。また、ヒトiPS細胞由来ニューロンの長期培養・機能的な成熟化を実現するために、アストロサイトとの共培養を行うアイディアを出し、これまで難しかった3ヶ月以上の培養および、長期培養によって機能が成熟化すること、およびシナプス関連薬剤の効果が顕著に現れることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトiPS細胞由来ニューロンの成熟化させる培養技術として、コラーゲンとゼラチンの相転移温度の違いを利用した3次元培養技術、生体脳環境を模倣する脱細胞脳組織を用いた3次元培養技術の開発を行った。開発した3次元培養技術により、これまで難しかった培養細胞からのシナプス後電位を計測できる可能性が示唆され、新しい計測技術の発展にも大いに期待ができる結果となったため。また、グリア細胞共培養により、ヒトiPS細胞由来ニューロンの機能が成熟化されることを見出した点は、薬剤評価系としても着目されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に開発した技術を用いて、3次元培養したニューロンの成熟化の評価を主に行うことを予定している。電気生理学的評価、スパイン形態評価、遺伝子発現評価の3つの項目に着目して、2次元培養ニューロンとの差異、および生体ニューロンとの相同性を明らかにする予定である。
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Research Products
(10 results)