2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J11205
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渋谷 宜己 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 電荷移動錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は複合化材料の開発を目的とし、これまで溶液中でのホストゲスト化学でホスト分子として用いられてきた分子ピンセット型分子をバルクへと応用展開するものである。本年度は継続して用いてきた液晶性を示す分子の物性評価と、その知見を元にした新規分子開発を行う予定であったが、研究過程でピレンを有する当該の分子の前駆体においてゲスト分子との共結晶の作製に偶然成功した。単結晶X線構造解析の結果、ゲスト分子が分子ピンセット中の2枚のピレン間に挟まれた、非常にユニークかつこれまでにない交互積層型電荷移動錯体結晶を形成していることが明らかになった。これは通常のピレンとゲスト分子の間に形成される電荷移動錯体結晶の構造とは全く異なるものであり、新たな物性が期待される。さらにこの電荷移動錯体結晶を形成した分子ピンセットに非常に小さな構造変化を加えると、共結晶構造が劇的に変化することが明らかになった。すなわち、電荷移動相互作用から成るカラムとは垂直な方向にも秩序をもった、Brick-Wall型の2次元電荷移動錯体結晶となった。こちらもこれまでにない結晶構造であり、電荷輸送の異方性などの物性が期待される。今後の展開として、得られた電荷移動錯体結晶の物性を評価していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、液晶性分子を用いてゲストとの複合化をさせることで、複合化材料へと展開しようとするものであった。平成26年度実施の研究において、結晶中での複合化に成功した。これは複合構造の正確な解明、新規電荷移動錯体の開発という点で非常に大きな進展である。また、現在までに様々なゲストとの複合化にも成功しており、ゲストによる物性変化も期待されている。 以上結晶中での複合化の成功のおかげで、研究は急速に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在得られている結晶化の知見をもとに、用いる分子モチーフはそのままに、様々なゲスト分子との複合化と、その複合構造を明らかにしてく予定である。また新規構造を持った電荷移動錯体として、移動度測定や誘電測定などの物性測定も行なっていく予定である。
|
Research Products
(2 results)