2014 Fiscal Year Annual Research Report
ARCSモデルに基づく個人適応型モバイル英語学習法の開発と評価
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14J11215
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
仲谷 佳恵 東京工業大学, 社会理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 教育工学 / 情報端末 / 英語スピーキング学習 / 第二言語習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実績は以下3点である. まず,本研究にて提案する英語スピーキングの自学自習法である,改良DLS法のモバイルアプリケーションの開発を完了させた.この学習法は,1.英文の要約をスピーキングする学習と,2.自学自習のための足場かけという2つの特徴を持つ.足場かけとして,要約に必要な語彙や内容を段階に分けて練習するワークや,自身の要約スピーキングを振り返る機能を提供した.英文の素材は高校生用の英語の教科書を,教科書会社から許可を頂いて使用し,アプリケーションはAndroid端末上で実行可能なものとして開発した. 2点目に,完成したアプリケーションを研究対象者である日本人大学生・大学院生6名に2日間使用してもらう予備実験を実施し,結果を発表した.実験については学習効果の一部や使用感を確認し,アプリケーションの微修正を行った.実験は平成26年7月に行った.この成果については,平成26年9月19日に日本教育工学会第30回全国大会にてポスター発表を行った. 3点目に,45名の実験参加者(日本人大学生・大学院生)に対し本実験を実施し,研究成果の一部を発表した.実験内容は以下の通りである.実験参加者には,改良DLS法のアプリケーション、もしくは従来型の英語学習をモバイル端末用にしたアプリケーションをインストールしたモバイル端末Nexus7を貸出し、学習を6日間行ってもらった.学習の効果を検証するため,実験参加者に対し,6日間の学習の直前,直後,学習終了から1週間後の3回テストを行った.実験実施期間は平成26年10月10日~平成26年12月26日であった.実験結果の一部の分析したところ,語彙力に対して改良DLS法のアプリケーションは,従来型の学習法と同程度の効果があることが実証された. この研究成果を平成27年3月7日に日本英語教育学会第45回年次研究集会にて口頭発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの達成度として,平成26年度の計画の一部の達成と,計画外の事項の達成がある. 計画の一部の達成について,当初の計画は,改良DLS法アプリケーションの開発,アプリケーションを用いた予備実験・本実験の実施,本実験の分析と成果の発表と論文誌への投稿であった.達成したのは本実験の結果の一部を発表する段階までである.現在本実験の結果の分析途中であるため, 論文誌への投稿は完了していない. これは,実験結果の分析を行ったところ,より詳細な分析を行う必要性が生じたためである.具体的には,学習前のスピーキングテストの成績や,学習中に行ったメモの取り方が,実験参加者によって大きな違いがあり,それらが学習効果に大きく影響を及ぼしていることが判明したためである.テストで測定したスピーキング能力についても,より詳細に分類することが必要である.よって,学習前の成績やメモの取り方によって実験参加者のグループ分けを行い,グループごとの詳細な分析を現在行っている. これによって,提案する学習法について,(1)どういったスピーキング能力を持つ学習者に,スピーキング能力のどの部分に有効なのか,(2)学習法を行う上で効果的なメモの取り方の2点を明らかに出来る. また,計画外の達成事項として,長期実験の準備が挙げられる.長期実験は,平成27年度に東京工業大学内の学部生を対象とした英語の講義で行う予定である.開発したアプリケーションを教材として1か月間授業で使用して頂くため,英語の講義を担当する教師と実験計画を作成中である.長期実験の目的は,(2)改良DLS法が不足している学習者へのフィードバックを補強するために,アプリケーションを自宅学習教材として授業で活用するという学習プロセスに変更する点と,(2)平成26年度に行った実験で検証できなかった学習の継続性と,長期にわたる学習の効果を検証する2点である.
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成26年度の実験結果の分析の続行と論文投稿.実験参加者の学習前のテスト成績や学習中のメモの取り方によってグループ分けを行う.グループごとに,改良DLS法のアプリケーションの採点結果と、従来型の英語学習の採点結果を比較・分析することで,学習効果を検証する。テスト成績については,スピーキング能力をより詳細に分類する.学習中の行動については,実験参加者が学習中にとったメモを基に分類を行う.また,学習に対する意欲に関しても改良DLS法と従来型の学習法で比較分析を行う.そして,能力向上に対する学習法の効果について学会誌へ論文としてまとめ投稿する.学習意欲に関しては,国際会議ICCE2015や電子情報通信学会 教育工学研究会などで発表する. 2.1か月間の実験実施と結果の分析,成果の発表.東京工業大学内の学部生を対象とした英語の講義で開発したアプリケーションを1か月間使用して頂く予定である.自宅学習では,学生に1日1トピックを目安に自宅でアプリケーションを使用したスピーキング練習を行うよう指示する.授業では,予め自宅で練習してきた題材を基に3分間のスピーキング課題をペアワークで行ってもらい,その後教師がフィードバックを行う.期間は5月中旬~6月中旬の予定である.学習効果を分析するために,1か月間の学習前後のスピーキングテストを実施し評価する.また,学習者がアプリケーションを用いた自宅学習を行った日数などから,本研究の学習法の継続性を評価する.得られた結果は日本教育工学会の研究会で発表する. 3.実験計画の修正と再実験の実施.2で得られた結果を基に学習プロセスならびにアプリケーションで扱う教材の見直しを行う.その後,東京工業大学の学部生を対象とした後期の英語の講義で,改善したアプリケーションを1か月間使用して頂く予定である.
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Research Products
(2 results)