2016 Fiscal Year Annual Research Report
農村における〈女性〉の構築過程-1970年代以降の農村女性政策・運動・表象
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14J11245
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
岩島 史 明治大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 農村女性 / 戦後日本 / ジェンダー / フェミニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「フェミニズム以降」の1970年代以降の農村における〈女性〉の構築過程を農村女性政策・運動・表象の相関に着目して明らかにすることである。本研究では、農村に即した〈女性〉の構築過程を、(1)マスメディア及び政策による表象、(2)ウーマン・リブなどの〈女性〉運動による代表/表象、(3)地域社会における実践の3つの課題に沿って検討することを目的としている。
昨年度の資料収集・先行研究の読解を踏まえて、今年度は(3)の研究課題を中心にすすめた。とくに、戦後日本で見られる「活躍する農村女性」のイメージと、その活躍の基盤となった1950-60年代の地域での女性の地位向上プログラムに参加した女性たちの自己表象やアイデンティティとのズレに焦点をあてて分析を行った。本年度は3つの国際学会で口頭報告を行ない、そこでのディスカッションを通して、そのような女性たちの実践に見られる農村性と女性性の結合のしかたや家族との関係などに、日本社会の特徴や東アジア的なあり方の特徴などについて分析を深めることができた。以上の分析の結果を国際学会に提出するフルペーパーにまとめることができ、現在投稿論文にむけても準備中である。
上記の学会報告・論文執筆のテーマとは別に、日本の農村社会と生活の近代化による変化について、今年度新たに調査を開始した。これまでの調査・研究では、農村女性個人の内面などに焦点をあてることが多かったが、新たな調査では、農村社会の共同組織や共同労働のあり方など、社会の共同の側面に焦点をあてることで、これまでの農村女性に関する調査・研究をより深めることのできる知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の資料収集・先行研究の読解を踏まえて、今年度は国際学会での報告と英語論文の執筆に力をいれた。 今年度は、4年に1度開催される農村社会学分野最大の国際学会であるWorld Congress of Rural Sociologyの開催年であり、2年に1度開催される東アジアの農業・農村史学の国際大会である日中韓農業史学会の開催年でもあったため、これら2つの国際学会での口頭報告を行なった。また、日中韓農業史学会で面識を得た韓国の研究者に、その後韓国社会科学会主催で開催される国際会議への招待を受け、国際会議「近代東アジアにおける個人資料研究の潮流」でも報告を行った。これらの学会報告を通して、論文の執筆も進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
3つの研究課題のうち、まだ十分に分析を深められていない(2)のウーマンリブとの関係性を中心に研究をすすめつつ、受け入れ研究者や他分野、他国の研究者とのディスカッションを重ねながら、これまでの研究をまとめていく予定である。
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