2014 Fiscal Year Annual Research Report
相談者の内面的自己開示を促進する要因の解明 援助者のコミュニケーションに着目して
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14J11252
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 健史朗 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 自己開示 / カウンセリング / コミュニケーション / 心理療法 / 発話分析 / 映像分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,相談者の内面的自己開示を促進する上で,有用な援助者のコミュニケーション技法について提言することである。そのため,26年度は援助者のコミュニケーション技法として,相談者の話を聞いたことによって援助者に湧き起ってきた感情を伝えるSelf-involving技法を取り上げて検討した。その結果,大学生を対象とした援助初期では,相談者の話を聞いたことによって湧き起った援助者の肯定的な感情を伝えることで,相談者の内面的自己開示が促進されることを明らかにすることができた。また,相談者の話を聞いたことによって援助者に湧き起ってきた否定的感情を伝えることは,援助者が積極的に自身の感情を伝えないコミュニケーションをとることと,相談者の内面的自己開示を促進する効果としては有意な差がないことを明らかにすることができた。この結果の一部をフランスにて開催された国際会議と国内学会にて成果報告した。さらに,この研究の結果を学会誌に投稿し,掲載が決定した。この結果を受けて,より実際の援助場面に近い状況での効果検討が必要だと考え,面接実験を用いて肯定的Self-involving技法が相談者の内面的自己開示に与える効果を発話分析にて検討した。さらに,この研究の結果の一部を国内学会雑誌および国際学会雑誌へ投稿するために執筆中である。
援助者自身の体験を開示するSelf-disclosing技法も取り上げた。援助者が相談者と似ている体験を伝えることが相談者の内面的自己開示を促進する効果を検討した結果,相談者と似ている体験を開示する援助者は,相談者の内面的自己開示を促進する効果があることを明らかにすることができた。一方,相談者の体験と似ていない体験を開示する援助者は,相談者の内面的自己開示を抑制することを明らかにすることができた。この結果を国内学会にて成果報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった相談者の内面的自己開示を促進する援助者の言語的コミュニケーション技法について,Self-involving技法とSelf-disclosing技法を取り上げて検討することができた。開示する感情の極性や開示する体験の類似性を考慮したり,面接実験まで行い,より詳細な検討ができた。また,これらの研究成果報告を学会での発表や論文化することで行うことができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
実際の援助場面では,援助者の言語的コミュニケーション技法だけが行われているわけでなく,非言語的コミュニケーション技法も行われている。より実際の援助場面に応用する知見を提言するためには,言語的コミュニケーション技法と非言語コミュニケーション技法をあわせて統合的に相談者の内面的自己開示に与える効果を検討する必要があると考えられる。そこで,今後は援助場面の発話分析や映像分析を行うことにより,相談者の内面的自己開示を促進する援助者の言語的および非言語的コニュケーション技法を検討していく予定である。さらに,継続的に援助を行い,その発話分析や映像分析により援助の時期による援助者のコミュニケーション技法の効果の違いを検討する予定である。
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Research Products
(6 results)