2014 Fiscal Year Annual Research Report
獣脚類を中心とした二足歩行性の主竜類における足の接地・把握機能の進化過程の解明
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14J11336
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
服部 創紀 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 主竜類 / 恐竜類 / 二足歩行 / 骨格 / 筋 / 解剖学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、①鳥類およびワニ類の解剖、②足部に付着する筋の相同性の推定、③恐竜類の筋復元、④基盤的主竜類・恐竜類の化石標本の調査を行った。 まず、鳥類およびワニ類の遺体を解剖し、足部を動かすそれぞれの筋が付着する位置を観察した。その後、解剖した個体の軟組織を取り除いて骨格標本を作製し、各筋の付着していた痕跡の有無を確認した。その結果、鳥類では大半の、ワニ類でも約半数の筋の痕跡を骨格上で確認することができた。 先行研究で相同性が確認されていない足部の筋については、付着位置とはたらきに基づき、新たに相同関係を推定することを試みた。その結果、一部は推定できたものの、鳥類ではワニ類よりも筋の数が少なく、鳥類に至る系統で失われたか、逆にワニ類に至る系統で筋が新たに獲得された可能性が考えられた。そのため、両者に最も近縁な現生動物であるトカゲ類およびカメ類の解剖を行い、鳥類とワニ類のどちらがより祖先的な状態を反映しているかを検証するプロセスに入っている。 また、この時点までの解剖の結果を、過去に調査した恐竜類の足部骨格化石のスケッチに反映することで、部分的な筋復元を試みた。その結果、ワニ類と鳥類に見られる足部の筋の違いの多くは、獣脚類と呼ばれる二足歩行性が確立した系統の中で生じた可能性が示唆された。この成果は、後述する国内学会においてすでに公表されている。 2015年2月から3月にかけてアルゼンチンに渡り、複数の博物館に所蔵されている基盤的主竜類および基盤的恐竜類の化石標本を横断的に調査した。後肢骨格が残された標本をあわせて21個体観察し、写真の撮影やスケッチによって筋痕と考えられる微細な形態を記録した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アルゼンチンへの渡航費用が当初の予定よりも嵩んだため、予定していた他の諸外国における調査を終えていない。また、鳥類の中で生態ごとの筋形態の比較を行う予定であったが、遺体を入手できていないため解剖を終えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、アルゼンチンで収集した基盤的主竜類の化石骨格の形態データを精査し、筋の復元がどの程度可能であるかを検討する。その上で、残された期間・予算内で可能な限り多様な分類群のデータを収集できるように調査先を決定し、博物館と標本利用の交渉を行い、旅程を組む。海外調査までの期間にカメ類および多様な鳥類の解剖を行う予定である。調査後は、得られた化石形態データに解剖学的知見を反映して筋復元を進め、その結果を系統樹上にマッピングしていくことで進化シークエンスを復元する。
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Research Products
(1 results)