2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子における励起子拡散とFRETダイナミクスの評価
Project/Area Number |
14J11356
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
濱田 守彦 香川大学, 工学部, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 量子ドット / FRET |
Outline of Annual Research Achievements |
量子ドット(QD)は生体組織の標識、単一光子源等の発光デバイス、高効率太陽電池への応用に向けて精力的に研究が行われている。QDを含むナノ粒子は薬剤等の効果の研究分野において、光安定性の高さから蛍光色素に代わって用いられるようになっている。その薬剤効果の研究において薬剤分子と患部細胞等の詳細な分子間距離の測定には、主にフェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)が用いられている。しかし、ナノ粒子は蛍光色素と比較してサイズが大きいにもかかわらず、単分子レベルにおける双極子の拡散運動は全く検討されていない。そのため、本研究の目的は高分解能を有する共焦点顕微システムを用いて、QD等のナノ粒子-蛍光色素間における双極子の非局在性と双極子間の距離を見積もることである。本研究は3つのサブテーマからなり、1年目である平成26年度は①を行った。 ①アンサンブルにおけるFRET効率、分子間の平均距離の検出 CdSe/ZnS QDをドナー分子、蛍光色素をアクセプター分子としてアンサンブルにおけるFRET効率を求めた。ドナー分子およびアクセプター分子の組み合わせはQDとCy5の系と、QDとAlexa Fluor 633の系で行った。QDの発光効率は0.57であり、QDの発光スペクトルおよび蛍光色素の吸収スペクトルから重なりの大きさおよびフェルスター距離を求めた。 QD溶液にCy5を加えた結果、QDの発光強度は徐々に減少し、Cy5の発光強度は増強した。色素が吸収しない400 nmの励起光によるCy5の発光より、FRETを確認した。蛍光寿命測定によりQDの蛍光寿命はQDとCy5の濃度比をQD:Cy5=1:0から1:100に変えることで16.2 nsから6.92 nsとなり、効率は57.3%となった。また、QD溶液にAlexaを加えることでQDの発光強度は徐々に減少し、Alexaの発光強度は増強した。蛍光寿命測定によりQDの蛍光寿命はQDとAlexaの濃度比をQD:Alexa=1:0から1:1000に変えることで17.8 nsから4.56 nsとなり、FRET効率は74.4%となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度の目標はアンサンブルにおける測定および共焦点顕微システムの構築を行うことである。現在アンサンブルにおける測定は完了し、単一分子レベルの測定に移行できるよう共焦点顕微システムの最終調整を行っている。そのため、当初の予定と同等の進度と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
以上より、申請者は申請書に沿って研究を行った。今後の方針として、アンサンブルでの測定系であるが故に見えない単一QDと色素系におけるFRETの測定を行う。そのため、申請書通り残っている②単一QD-単一蛍光色素における双極子間距離の検出および③単一QD-複数の蛍光色素におけるFRET効率変化の研究を、共焦点顕微鏡を用いて行う予定である。
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Research Products
(4 results)