2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J11371
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 俊一 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 渦状擾乱 / 客観的追跡手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、冬季日本海上で発生する低気圧ファミリーの客観的な統計調査を行うため、まず数値予報データから渦状擾乱を客観的に抽出・追跡する手法の開発に取り組んだ。開発した手法を2007年から2014年までの7年間の寒候期(11月~3月)の気象庁メソ解析データに適応したところ、衛星画像を用いた先行研究と一致する結果が得られ、本手法によって渦状擾乱のトラッキングが出きることが確認された。 次に、抽出された渦状擾乱をその発生位置・移動経路によって以下の5通りに分類した。日本海北西部で発生して南東進するもの(NW-SE型)、日本海北西部で発生して東進するもの(NW-E型)、日本海北西部で発生して南進するもの(NW-S型)、日本海南西部で発生するもの(SW型)、北海道西方で発生して南進するもの(H型)。分類されたそれぞれの渦状擾乱について、コンポジット解析によってそれぞれの発生環境場を調べた。NW型の渦状擾乱は、低気圧通過後の寒気吹き出しに伴う収束線形成時に形成されることが分かった。上層には寒気を伴うトラフが存在しており、渦状擾乱はその東で発生することも分かった。この結果はこれまでの事例解析による結果とも一致しており、渦状擾乱に一般的なものであることが確認された。さらに、親低気圧との位置関係によって、渦状擾乱の移動方向や発達度合が異なることも明らかになった。SW型の渦状擾乱の発生時には上空に渦が存在しており、この渦の影響を受けて下層に渦状擾乱が発生することが分かった。このとき、東シナ海には南から気圧の谷がのびていた。これは東シナ海低気圧や南岸低気圧の発生時の環境場に類似しており、SW型の渦状擾乱はこれらの低気圧と関係が深いことが分かった。H型の渦状擾乱は太平洋に存在する総観スケールの低気圧から西に延びる気圧の谷で発生していた。このとき、上層には寒冷渦が存在することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに当初の計画通り渦状擾乱の客観的追跡手法を開発し、渦状擾乱の抽出を行うことができた。また、渦状擾乱の分類を行い、コンポジット解析により渦状擾乱の環境場の解析を行うことができている。以上のように、今年度行う予定であった解析を行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の渦状擾乱の客観的追跡手法には、渦状擾乱とその他の低気圧や前線などの分離法に課題があるため、その点について手法の改良を行う。さらに、コンポジット解析の結果を用いて数値シミュレーションを行うことで、渦状擾乱の発生・発達過程について一般的特徴を明らかにしていく。最終的にコンポジット解析・数値シミュレーションの結果をまとめ、渦状擾乱の一般的特徴を論文として投稿する。
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Research Products
(4 results)