2017 Fiscal Year Annual Research Report
滞日外国籍移住女性をめぐるセキュリタイゼーションの研究-在留資格「興行」を事例に
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14J11387
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
大野 聖良 フェリス女学院大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 在留資格「興行」 / 入管体制 / ジェンダー / 日本 / フィリピン / 入管行政 / 招聘業界 / エンターティナー |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)文献調査および考察 ①入管行政に関する資料分析:(財)入管協会発行『国際人流』(1987年~2015年)の資料をもとに、入管行政の問題認識の変遷およびその中での在留資格「興行」をめぐる言説の変容、特に「芸能活動」と「接待行為」の境界線のゆらぎ、ジェンダー化された「不法性」の概念について明らかにした。②招聘業界に関する資料調査:全国外国人芸能人招へい事業者連絡協議会発行『入国ジャーナル』(1996年~2005年)、招聘業界に関する先行研究や新聞雑誌報道等の資料収集を実施した。それらの資料から招聘業界団体の成立過程および行政や政財界のアクター、フィリピンの送出し機関との関係性を明らかにした。次に、業界特有の「興行」言説の有り様や、外国籍女性エンターティナーの適法性をめぐって論点となった「談笑」言説等に注目し、招聘業界在留資格「興行」や同資格による外国籍女性の招聘についていかに語ってきたのかを考察した。③在比邦字新聞の資料収集:フィリピンで発行されている邦字新聞『まにら新聞』のweb上データベースから、フィリピン社会における在留資格「興行」をめぐる世論を把握するため、フィリピンから日本への「興行」出稼ぎに関する新聞記事を収集した。 (2)海外調査(フィリピン・マニラ) ①資料収集調査:アテネオ・デ・マニラ大学付属図書館、フィリピン国立図書館で、日本へエンターティナーとして出稼ぎする女性に関する新聞記事および雑誌記事のリスト化および収集を実施した。②在比研究者との交流・ネットワーク形成:フィリピン大学Center for the International Studiesや同大学政治学部所属の研究者と交流する機会を得た。研究交流を通じて、本研究課題と関連のあるフィリピン国内での先行研究を入手することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究の達成度についておおむねに順調に進展している。 日本・フィリピンでの文献調査・資料収集は計画通り実施することができた。特にフィリピンでの新聞・雑誌資料の収集は当初の計画以上に実施することができた。またこれらの調査の研究成果について、国際ジェンダー学会等での口頭発表3件で研究発表を行った。また、日本移民学会とInternational Association for Feminist Economicsでの学会報告2件が受理されている。 しかしながら、文献調査に大幅な時間を割いたため、遂行した課題についての論文投稿を本年度の計画通りに行うことができなかった。また、招聘業界団体へのインタビュー調査は、団体解散によってアクセスが不可能であることが判明し、実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は学会誌への論文投稿を積極的に行う予定である。また、招聘業界関係者へのインタビュー調査の遂行可能性について再検討し、課題の達成を目指したい。
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