2016 Fiscal Year Annual Research Report
地域国際法としてのラテンアメリカ国際法の現代的意義に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
14J11424
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中井 愛子 東京大学, 法学政治学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ラテンアメリカ国際法 / ウティ・ポシデティス / 米州国際法 / 地域国際法 / 領域法 / 国際法理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、19世紀から20世紀初頭にかけてのラテンアメリカ国際法の形成に対する北米・欧州の反応(とりわけ、戦間期における当該概念の受容の背景及び過程)と、コロンビア、ペルー及びその周辺国におけるウティ・ポシデティス・ユリスによる国境画定の展開を検証した。その結果、以下の知見を得ることができた。 1820年代に「米州公法」として打ち出され,ラテンアメリカ諸国間の各種の国際会議で実定的に追求されたラテンアメリカ国際法は, 19世紀後半には「米州国際法」と呼ばれ,1880年代頃から欧州の文献にも登場し始める。米州国際法の理論は,19世紀後半から20世紀にかけて,南米の国際法学者を中心に客観主義の法理論に依拠して構築され発展した。20世紀初頭から戦間期,同じく客観主義に属する社会学的実証主義学派が欧州大陸諸国において隆盛したことをきっかけに,米州国際法の理論は欧州でも広く認知され受容された。欧州諸国間で生成された法と国際法との区別がなかった当時において、米州国際法の概念の欧州における受容は,国際法学における地域国際法の観念そのものの受容を直接に帰結した。 ウティ・ポシデティス・ユリスの生成の詳細は一般に不明とされてきたが,調査の結果,1820年代初頭のその主要な提唱者が大コロンビアであること,脱植民地諸国の領土・国境の早期かつ安定的な確定・画定が目的であったこと,脱植民地諸国による旧宗主国の法律上の支配領域の承継の相互承認を核とする規則であり,拘束力の根拠は原則的に隣接する諸国間の合意に求められたこと,最終的な精密な国境は当事者間の新たな合意によって決定されることが予定されており,それが決定されるまでの間の現状変更の相互の禁止が具体的な義務内容であったこと等が明らかになった。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)