2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J11443
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 光一郎 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 質量分析 / 不均一系 / 触媒反応 / 反応機構 / リアルタイムモニタリング / 炭素-炭素結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
同位体ラベル化法を用いて、質量分析装置によって化学反応を定量的にモニタリングする手法の開発に成功した。測定法の正確さ、応用範囲に関して評価を行い、その技術としての確立に務めた。また、測定法の実際の応用例として、スカンジウムを触媒として用いた水中でのヒドロキシメチル化反応の速度論解析を行った。この反応は有機溶媒を一切使用しない完全水中で進行する反応であり、反応に関与する物質は界面活性剤によって水中に分散されている。そのため、反応は不均一系となっており、赤外分光法やNMR、高速流体クロマトグラフィーといった従来の手法では定量的なモニタリングが難しかった。まず直接アルドール型であるヒドロキシメチル化反応をモデル反応として内部標準物質となる重水素化された反応生成物を合成、測定条件の確立を行った。初速度法によってその速度論解析を行ったところ、反応が触媒に対して1次、基質であるケトンに対して1次であることを見出した。向山アルドール型のヒドロキシメチル化反応も同一の触媒系、内部標準物質を用いてモニタリングが可能である。そこで、同様に速度論解析を行ったところ、向山アルドール型の反応は直接アルドール型に比べその反応速度が大幅に大きく、また触媒に対して0次を示すという非常に興味深い結果を示すということが分かった。この結果は以前までに得られている均一系でのスカンジウム触媒によるヒドロキシメチル化反応とも大きく異なるため、反応が不均一系であることの大きな特徴なのではないかと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
不均一系での有機化学反応の定量的なモニタリングを行うことに成功し、加えてその速度論解析を実施した。実施の上での最大の課題は反応混合物中にごく微量しか存在しない内部標準物質を質量分析によって検出できるかどうかであったが、測定条件の丁寧な最適化によって定量に問題がないレベルまで感度を上げることに成功した。結果として研究が当初の計画以上に進行し、速度論解析を複数例実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本手法の応用として様々な不均一系での有機化学反応のモニタリングおよび速度論解析を複数例実施する。メソッドの応用範囲と限界を明らかにするため、特にモニタリングに関しては幅広いタイプの不均一系反応について実施を試みる。
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Research Products
(2 results)