2014 Fiscal Year Annual Research Report
サブミリ波観測で探る爆発的星形成銀河及び大質量ブラックホールの形成環境
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14J11481
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅畑 豪紀 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 大質量銀河形成 / サブミリ波銀河 / 活動銀河核 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミリ波、サブミリ波で選択的に観測されるサブミリ波銀河は宇宙で最も激しい星形成活動を示す大質量爆発的星形成銀河であり、他方クエーサーは中心に大質量ブラックホールへの質量降着で明るく輝く活動銀河核の最も活発な種族だと考えられている。宇宙の歴史は構造形成の歴史でもあり、質量密度揺らぎの進化は銀河、ブラックホールの形成条件や進化を形作る上で重要な要素に挙げられる。しかしながら、サブミリ波銀河の発現条件と大規模構造の関係を直接的に明示する観測的研究は存在していなかった。申請者はSSA22領域に注目した。SSA22は赤方偏移2以遠の既知の高密度領域の中で最も顕著な密度超過を示す領域であり、100Mpcスケールに渡って広がるフィラメント状のライマンα輝線銀河(LAE)の表面密度勾配が発見されている。まず、10mのミリ波サブミリ波望遠鏡ASTEに1mm帯の観測ができるAzTECカメラを搭載し、125個のサブミリ波銀河を大規模構造の方向に発見した。さらに125個のうち45個のAzTECカメラで検出された天体についてチリにあるサブミリ波干渉計ALMAを用いて高分解能観測を行った(筆頭提案者: 申請者,Cycle1)。本研究によって、赤方偏移3の宇宙において、サブミリ波銀河の形成及びその内部での超大質量ブラックホールの成長には50Mpcスケールの大規模な密度環境の勾配が大きく関係していることが明らかになったと考えられる。今後、これらの成果を複数の出版論文にまとめていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は申請者が属する研究グループのこれまでの成果を活かし、最先端の国際プロジェクトであるALMAを用いてその発展を企図したものである。これまでにこの研究の礎となるCycle1でのプロジェクト採択に加え、Cycle2においても筆頭提案者として追加のデータを既に取得することができており、観測時間の獲得及びデータの蓄積は順調に推移している。得られた科学的成果も非常に興味深く、特に活動銀河核の活動性と宇宙大規模構造の強い依存性は本研究によって初めて観測的に示されており、画期的なものである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、最優先事項として既に得られているデータの論文出版に取り組む予定である。10mの単一鏡での観測から12m望遠鏡30台の観測への発展で見えてきた貴重な成果であり、世界で初の高密度領域の大規模サーベイとして唯一性も非常に高い。ドイツでの長期滞在を通してこれらの解釈を徹底的に鍛え上げる。さらに、見えてきている面白い成果を活かして更なる観測時間の獲得にも取り組む。ALMAの次の募集であるCycle3への観測提案に加え、可視から電波に至る幅広い波長域でさらなる知見を得ることを目標とする。
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Research Products
(3 results)