2015 Fiscal Year Annual Research Report
機能性ウイルスを用いたタンパク質間相互作用解析法の開発
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14J11590
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
明珍 琢也 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ヘルペスウイルス / ミトコンドリア / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、遺伝子改変したヒト単純ヘルペスウイルス (HSV) を用いて、細胞内における標的タンパク質と生理的条件下で相互作用するタンパク質を選択的に採取し解析する方法の開発を目指している。HSV固有のタンパク質はHSV増殖時に必ずウイルス粒子内に取り込まれる。この性質を利用しHSV固有タンパク質に標的タンパク質を融合させることで、標的タンパク質との相互作用分子を同時にウイルス内に封入させ、ウイルスを回収・解析することで相互作用するタンパク質を検出するという方法を開発している。 本システム達成のため、初めに各テグメントタンパク質のウイルス粒子内封入能について精査している。一部のテグメントタンパク質は蛍光タンパク質が融合した状態でウイルス粒子内に封入されることが知られているが、融合タンパク質の分子量の限界は各テグメントタンパク質により異なると考えられる。そこで、HSVが複数有するテグメントタンパク質の中で、どのテグメントタンパク質に外来タンパク質を融合させた場合、最も大きい分子量の外来タンパク質をウイルス粒子内に封入可能かを検討し、標的タンパク質を融合させるのに最適なテグメントタンパク質を決定することを試みている。 また、細胞小器官であるミトコンドリアに着目し、ミトコンドリアに存在するウイルステグメントタンパク質の同定とその機能解明も並行して行っている。ミトコンドリアに局在するウイルスタンパク質を同定するために、APEXという酵素によるラベル化の系の応用を試みた。APEXをミトコンドリアに局在させることで、ミトコンドリア近傍に存在するテグメントタンパク質をラベル化し、同定することを試みた。これにより、現在までに本系を用いて、複数のミトコンドリアに局在するテグメントタンパク質を決定しており、現在それらの詳細な局在を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書に沿った進行を行っているが、対象となるテグメントタンパク質の解析やその系の立ち上げ等に時間を要しているため、計画書以上の進展はない。これら問題点は、これまでの各種検討により徐々に解決されていくと考えられるため、今後は更なる研究の進展が期待される。また、並行して進めているミトコンドリアに局在するウイルス固有のタンパク質の機能解明においても、系の立ち上げ、対象となるウイルスタンパク質の多さから、検討に大きく時間を要しているが、こちらもこれまで検討を基に、今後研究が進展すると期待されている。 以上のことから、現在までの進捗状況は、計画書を大きく超えて進展するものではないものの、おおむね順調に進展しているものと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策については、概ね計画書通りに進行する予定である。昨年度までに各種検討は十分に終了しているため、現時点において本年度の研究計画に着手している。まだ幾つか問題点が浮上しているため、それらを並行して解決することが求められるが、昨年度までの知見を基に解決可能な課題であると考えている。 また、並行して行っているミトコンドリア局在ウイルスタンパク質の機能解明においては、新たな生物学的知見を目指して、その解析を行っており、こちらも本年度も進行させる予定である。
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