2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J11636
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
佐藤 圭 東京大学, 総合研究博物館, 特別研究員(DC2)
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| Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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| Keywords | 貝殻微細構造 / 原鰓亜綱 / 分子系統 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
軟体動物の貝殻は、炭酸カルシウムと微量な有機物がつくるミクロスケールの規則的な構造単位で構成される（貝殻微細構造）。貝殻微細構造は、科や属間で類似することから、しばしば形態形質の乏しい分類群の分類形質として用いられてきた。マクロレベルの貝殻形態と同様に、貝殻微細構造を化石種にも応用可能なミクロスケールでの硬組織の形態形質として捉えることで、地球上で最も多様な分類群の一つである軟体動物の進化史をより鮮明に記述できると考えられる。
H26年度は、祖先的二枚貝である原鰓亜綱の現生種を研究対象とし、貝殻微細構造記載と分子系統解析結果を対比することで、貝殻微細構造の系統学的評価を行うことを目的として研究を行った。5遺伝子領域を用いた分子系統解析の結果と従来解剖学的見地から提唱されていた分類体系を対比すると、上科以上の高次分類においては、概ねその単系統性が支持された一方、より低次分類の単系統性は十分に支持されなかった。この結果は、原鰓亜綱の分類体系の見直しが必要であることを強く示唆している。一方、FE-SEMを用いた高解像度の貝殻微細構造観察の結果を得られた系統樹と対比すると、貝殻微細構造組み合わせは、上科オーダーで極めて保守的であることが明らかとなった。本研究の結果と先行研究を対比すると、原鰓亜綱の貝殻微細構造組み合わせの傾向が現生種と化石種で大きく異なるという奇妙な事実が浮き彫りとなる。単結晶XRDを用いた結晶方位解析の結果、同一の貝殻微細構造であっても、その構造をもつ種によってその結晶方位パターンが異なることが確認されており、現生種の微細構造は、上科分岐以後の収斂進化によって獲得された可能性があると考えられる。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H26年度実施予定であった、現生試料を用いた３種の研究手法（分子系統解析・SEMによる貝殻微細構造観察・XRDによる結晶方位解析）については、いずれも一定の結果が得られている。分子系統解析によって得られた系統樹は、低次系統間の支持率が余り十分でなかった点や、予定していた貝殻微細構造の物性評価などが未実施であった点などを考慮して、以上のような自己評価とした。
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| Strategy for Future Research Activity |
原鰓亜綱は、マクロスケールの形態が古生代からほとんど変化していないと考えられている。H26年度の結果は、その一方でミクロスケールの形態形質である貝殻微細構造が、顕生代を通じて進化してきたことを強く示唆している。貝殻微細構造進化が適応放散イベントの引き金になった可能性を検討する為に、今後の研究は貝殻微細構造進化の起きた時期・系統を特定することを目標とする。
「時期の特定」に関しては、化石原鰓亜綱の貝殻微細構造観察を行う。先行研究から、貝殻微細構造進化が起こった大まかなタイミングはある程度予測することができている。例えば白亜紀～第三紀にかけて原鰓亜綱のある上科が一斉に微細構造を進化させた可能性がある。本年度の研究では、国内において比較的保存状態が良好な試料が採取できることが見込まれるこの期間に特に着目し、日本国内の複数産地において化石採集を行って、微細構造観察結果の対比を行う。
「系統の特定」に関しては、引き続き分子生物学的手法からアプローチを試みる。H26年度の5遺伝子領域を用いた分子系統解析では、低次の系統関係が十分に再現されなかった。そこで、この課題に取り組むためには、より頑健な系統樹を復元する必要がある。今後の研究では、これまでの研究試料について、新たに核ゲノム4領域の塩基配列解読を試みるとともに、RNA抽出用の現生試料を新たに採取し、次世代シーケンサーによる大規模データを用いた系統解析を行う。さらに、以上の解析データを元に、祖先形質復元を行う。
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Research Products
(5 results)
