2014 Fiscal Year Annual Research Report
時間周期的な外場を加えた不安定量子系のフロケ・ハミルトニアンの複素固有値問題
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14J11749
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山田 修久 大阪府立大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 複素固有値問題 / フロケ理論 / 時間対称性の破れ / 量子制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究において,申請者は,駆動不安定量子系の複素フロケ固有値問題を,弱結合の条件下で厳密に解くことに成功した.具体的なモデルとして,連続状態と弱結合する離散状態のエネルギー準位が正弦関数的に振動する駆動フリードリクス・モデルを選んだ.このモデルのハミルトニアンに対するシュレーディンガー方程式を,フロケ理論と複素固有値問題を組み合わせた複素フロケ固有値問題として解き,その複素フロケ固有値,固有ベクトルの解析的表現を得た. この複素フロケ固有状態を用いることで,系の波動ベクトルの時間発展演算子を複素フロケ・スペクトル分解することが可能になった.複素フロケ固有状態のうち,複素数を固有値とする共鳴状態由来の成分が系のマルコフ過程に対応しており,その他の状態由来の成分が非マルコフ過程に対応している.このことから,系の任意の物理量の時間発展は,複素フロケ・スペクトル分解することで,時間的に不可逆なマルコフ過程と可逆な非マルコフ過程に分離することができる. また,時間発展の具体的な例として系の不安定状態の生き残り確率を解析し,その時間発展の各時間領域での振る舞いが外場によってどのように変化するかを明らかにした.不安定系の時間発展は放物型減衰する短時間,指数減衰する緩和時間,冪減衰する長時間の三領域に分けることができる.一次元系特有のVan Hove特異性を利用することで,緩和時間での指数減衰の減衰率,長時間での冪減衰の強度をそれぞれ大きくも小さくもできることが明らかになった.このことから,自然界に普遍的に存在する不安定系の時間発展を,時間周期的外場によって制御する方法が,初めて理論解析から明らかになったといえる.
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(3 results)