2014 Fiscal Year Annual Research Report
留学生のコミュニケーションメディア使用と異文化適応に関する研究
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14J11782
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
叶 少瑜 東京工業大学, 大学院社会理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 留学生 / コミュニケーションメディア / 異文化適応 / 縦断調査 / 社会的ネットワーク / 個人特性 / メディア使用に対する認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, 留学生のコミュニケーションメディア, つまりケータイ(スマートフォン以外の携帯電話端末), スマートフォンおよびPCの使用が, いかに異文化適応に影響を及ぼすのかを究明することである。今年度は, 2014年7月を1時点目, 2014年12月を2時点目とし, 留学生を対象に縦断調査(パネル調査)を実施した。1時点調査の際は193名に調査票を送付し, 有効回答は138名であった。2時点調査に回答したのは103名であったが, 不備のあったものを除き, 99名分が本研究の分析対象になった。 現在までの分析結果は次の点が明らかになっている。 1. 1時点・2時点の各社会的ネットワークの構成(同言語話者と異言語話者の割合)はほぼ同様であった。 2. 対面とEmailによる社会的ネットワークには, 異言語話者が多く含まれたが, 音声通話とLINE等のメッセンジャーによる社会的ネットワークには母語話者が多く含まれた。 また, 留学生のケータイ・スマートフォン・PC使用の影響をより総括的に検討するため, それぞれの使用に対する認識について, 2012年に実施した調査結果を再分析した。その結果, ケータイ使用者に比べてスマートフォン使用者は「情報検索」に対する認識が有意に高かった。そして, インターネットは, スマートフォンは「情報検索」に, PCは「情報閲覧」に主に利用されていることが明らかになった。これらの成果は2014年6月にフィンランドで開催された国際会議および2015年3月に東京工業大学開催された日本計画行政学会・社会情報学会共催第9回若手研究交流会にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 本研究は縦断調査(パネル調査)を計画通りに実施し, 分析も計画通り順調に進めている。 2. 留学生のケータイ・スマートフォン・PC使用に対する認識に関する研究成果を計画通り, EdMedia2014 : World Conference on Educational Media & Technologyにて発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の計画していた縦断調査(パネル調査)はすでに2時点ともに終了している。来年度は詳細な分析を行い, 留学生の個人特性, および対面・音声通話・CMC(メッセンジャーによるメッセージとEmail)による親密な社会的ネットワークが, いかに異文化適応に影響を及ぼすのかを詳しく分析する。その研究成果を『社会情報学』やJournal of Social and Personal Relationshipsなど, 国内外の学会誌に投稿する予定である。また, 一般社団法人社会情報学会や異文化コミュニケーション学会などの全国大会, 関連研究会等においても研究成果を口頭発表などを行う予定である。
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