2014 Fiscal Year Annual Research Report
科学技術アプリケーションのメニーコア環境対応を支援する自動最適化フレームワーク
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14J11834
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
星野 哲也 東京工業大学, 大学院情報理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 国際情報交換(アメリカ) / フレームワーク構築 / 国際学会発表 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、Oak Ridge National Laboratory(ORNL)における3ヶ月間のインターンシップを通じ、本研究課題の目的である自動最適化フレームワークの基盤づくりを進めた。ORNLではOpenARCと呼ばれる、アプリケーションの性能解析機能を備えるOpenACCコンパイラを研究・開発しており、この開発チームと直接連携をとることで、フレームワークの開発を進めた。 本フレームワークにおける最適化のターゲットである、「メモリ階層間のデータ移動」、「データ構造の変更を行う仕組み」のうち、後者の大部分の構築が完了しており、フレームワークへの実装を進めた。また、単純なベンチマークアプリケーションに本フレームワークを適用し実験することで、本フレームワークの有効性を確認した。この成果を高性能計算分野におけるトップカンファレンスであるSupercomputing Conference(SC)に併設のワークショップWACCPD14にて発表した。 また現在、本フレームワークを用い、データ構造の変更が有効であることが確認されている実アプリケーションのメニーコア環境への移植を行っている。これによりフレームワークの評価を行うことでフィードバックを得、自動最適化を進める予定である。 しかし、当初計画では2・3年目に行う予定であったフレームワークの構築を前倒しで行ったために、本来1年目に予定していた性能最適化モデルの構築が完了していない。今後は性能最適化モデルの構築と、実アプリケーションにおける評価を行い、フレームワークへの実装を進めることを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の当初の研究計画では、 ・(1年目):メニーコアプロセッサにおける性能最適化モデルの構築 ・(2年目):メモリ階層間のデータ移動・データ構造の変更を行う仕組みの構築 ・(3年目):性能最適化モデルに基づく自動最適化フレームワークの構築 という計画であったが、計画の順序を大幅に変更し、本年度は本来3年目に行うことを予定していた、本課題の目的である自動最適化フレームワークの基盤を作ることに注力した。もともと本研究において研究順序はあまり重要ではなく、またORNLにおけるインターンシップにおいて、最先端の研究を行っている研究者のもとで研究できる良い機会だったため、計画を前後させた。また、2年目に計画していた「メモリ階層間のデータ移動」、「データ構造の変更を行う仕組み」の構築のうち、後者の大部分が完了しており、フレームワークへの実装を進めた。単純なベンチマークアプリケーションに本フレームワークを適用し実験することで、本フレームワークの有効性を確認した。しかし、2・3年目に行う予定であったフレームワークの構築を前倒しで行ったために、本来1年目に予定していた性能最適化モデルの構築が完了していない。 1年間で進めるべき研究としては、当初計画より順調に進展しているものの、当初研究計画で本来1年目に予定していた目標は達成できていないため、「おおむね順調に進展している。」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、単純なベンチマークアプリケーションに本フレームワークを適用し実験することで、本フレームワークの有効性を確認している。今後は、実際に使用される複雑なアプリケーションについても有効であるかどうか検証を進めていく予定である。また、メモリ階層間のデータ移動を行えるような仕組みの実装も進めていく。 また、本来1年目に予定していた性能最適化モデルの構築を進める。メニーコアプロセッサの性能評価はフレームワークの実装と平行して進めてきたが、現状では性能最適化モデルを作るにまでは至っていない。また、当初考えていた性能最適化モデルは、メニーコアプロセッサ全般に通じる静的な性能最適化モデルであったが、種々の評価により、メニーコアプロセッサ全般に通じる静的なモデルを構築することは難しい可能性が出てきた。さらには、今後メニーコアプロセッサのアーキテクチャが一新される可能性もあり、静的なモデルを用いた最適化はより困難を極める。そこで、現在動的な性能モデルの導入を検討している。フレームワークがアプリケーションの実行時に実行情報を収集し、性能モデルを構築することで、アプリケーションの自動最適化を実現する方法である。2・3年目ではこの静的なモデルと動的なモデルを用いた自動最適化の両面を検討し、実装していくことを予定している。
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Research Products
(4 results)