2015 Fiscal Year Annual Research Report
多重項動的平均場を考慮したX線分光理論解析枠組の新規構築と強相関電子系への応用
Project/Area Number |
14J11952
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
播木 敦 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | 強相関電子系 / 光電子分光 / 動的平均場理論 / 遷移金属化合物 / 光物性 / 物性理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,3d遷移金属化合物などの強相関電子系に対する内殻X線分光実験で近年観測されているスペクトル微細構造の定量解析から,微視的電子状態に関する新規知見を獲得しうる理論解析枠組の構築を目標としている.この枠組みは現実的な結晶構造のもとで動的平均場(DMF)を考慮するもので,従来のスペクトル解析に用いられてきたクラスタ模型などの不純物模型では考慮できなかった,物性に直結する多電子状態を有効的に取り込んだ解析ができることが大きな特徴である.今年度は(1)新規枠組を用いて,応用よりの物質の内殻X線光電子分光(XPS)の解析を進めつつ,(2)共鳴X線発光分光(RXES)など種々の分光過程で観測されている微細構造解析に枠組を適用した. (1)巨大磁気抵抗や多彩なスピン・軌道・電荷秩序を示すことで知られるLa1-xSrxMnO3(LSMO)のMn 2p XPSでは,キャリアドーピングや温度変化に敏感な主ピーク微細構造が観測されている.DMFを考慮した枠組でこの主ピーク構造を解析し,LSMOが示す軌道・スピン秩序との関係を微視的立場から初めて明らかにした.この成果は,Mn 2p XPS が長距離秩序のパターンやMn間のスピン・軌道の相関を調べる有効な手段となることを示す意義があるものと考える.また,前年度に引き続きスピンクロスオーバー現象で知られるLaCoO3のCo 2p XPSの解析を進め,終状態における非局所電荷移動遮蔽がCo間のスピン状態に強く依存することを見出し,Co 2p XPS がスピン状態を調べる有効な手法になることを提案した. (2)LSMOや3d遷移金属酸化物の典型物質である NiOやCoOに対する高分解能RXES(L端)実験スペクトルを新規枠組で定量的に再現し,RXES過程においても従来の一不純物模型では考慮できない 3d バンドの効果が本質的に重要であることを示した.
|
Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(6 results)